ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ウォー・オブ・ザ・デッド

あらすじ
「なんで頭撃ったら死ぬの(今さら)」

 

 ゾンビがあらわれた!(中略)人間は戦い続けている・・・。といった特に代わり映えもしない量産型のセカイ崩壊系ゾンビ映画である本作を評価するには寛容のゲージを振り切らねばならないだろうし、振り切る必要性も感じない。81分間を無為に過ごすのも一興という人間以外が本作を購入する意義は皆無である。

 

 臭そうなゾンビに対して銃を向けるのは、これまた臭そうなシャツを着こんだオッサンとオバハンである。モニタ越しにもわかる「こいつら絶対ちゃんとシャワー浴びてねえだろな感」が、本作から感じる唯一のリアルである。

 

 本作の決戦兵科は「ゾンビが人間を養殖している」という設定だけである。ゾンビたちには最低限の知能が搭載されており、人間を捕らえてエサを与えて肥育し、思春期の食べごろになると捕食するらしいのだ。しかしまあ、食べごろになるまで10数年間育成を続けるというその根性は盆栽マニアもビックリの忍耐力の化身であり、そのような克己心をゾンビ風情が装備しているという設定は食欲によって動くゾンビという概念に対する挑戦であり、ここに本作の革命的精神を認めることは可能だろうか。おそらく不可能だろう。

 

 人間農場 by ゾンビの経営には黒幕が動いていた。それはブルジョワの上級国民である。彼らは安全なシティに住んでいる。しかしもしシティが襲撃されたらと考えると夜も眠れない。よってシティの周囲で人間農場を経営してゾンビがシティに入ってこれないようにしよう!

 

 これをもって金持ちが貧乏人をド突き回している!という構図を想定することは容易だが、おそらく本作はそのような意図を持っていない。金持ちの醜悪さに対する表現が全くと言っていいほど無くラストにしても汗臭そうな主人公たちがブルジョワに向かって「こんなことしたらダメだぞ」と数秒説教して退室するという峻烈な階級闘争を披露するのみである。

 

 結局のところ本作はピストルを持ったスメハラ親父達がゾンビの頭を撃つという既定路線から逃れることはできなかった。なおパッケージではゾンビ達が古代ローマ風の鎧と剣を身に着けているが作中ではローマのRの字も出てこないので安心して大丈夫である。

 


総合評価・星2つ(500円の価値無)
★★☆☆☆

 


以上