ワンコイン・ムービ-レビュー

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ゾンビ2030 DEAD HUNTER

あらすじ

バイオハザードをクリアした後の隠し武器で遊ぶ様な感じ」

 

 本作は、ノロノロ歩く量産型のゾンビに向かって銃を撃つという、もはや何回見たかわからない筋書きの魂を欠いた工業製品である。自分がゾンビマニアで、どんなものでもいいからゾンビ映画を見続けないと死ぬ病に罹患していなければ、本作を見る必要は皆無である。

 

 本作を視覚芸術の絶頂に押し上げたファクターとして挙げれるのは、セットアップの丁寧さとその説得力であろう。舞台は近未来。環境破壊によって住めなくなった地上を背に、人類は地下へと潜る。主人公たちは不法に検問をかいくぐり、地上の森でハンティングを楽しもうとするわけである。なおゾンビ発生の原因は、軍が管理していた薬品が地上の墓場に漏れ出たからである。

 

 近未来も環境破壊も地下生活も、本作においてはその存在価値を失ったまま浮遊している。大した意図も無く盛り込まれたこれらどうでもいい設定を背景にして役者たちがモデルガンを撃つ93分がどれだけ甘美な時間となるかは想像するまでもないだろう。

 

 本作を運動絵画の極みに押し上げたファクターとして挙げれるのは、その繊細なファッションセンスである。主人公たちは近未来という設定を無視して現代の、それも旧式の銃火器でゾンビに立ち向かう。しかしながら主人公グループに所属する低能A、彼だけは違った。彼は筑波大学が開発したロボットスーツをプラモデル化したようなゴミクズを装着し、ビームライフルを両手に抱えて奮戦する。舞台を近未来に設定した意味はここにあったのでは?とほんの一瞬考えた私をあざわらうかの様にモニタは彩られる。節子、これゾンビ映画やない!スターウォーズや!

 

 SF方面にブチ切れるのであれば、ビームサーベルでも何でも出せばいいだろうにそれをしなかった中途半端な踏み切りの悪さ。本作がバットを振り切っていない張三李四の粗悪品であることは否定できない現実である。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上