ザ・アビス ~首都沈没~
あらすじ
「以心伝心」
地盤沈下で町がヤバい。ヒロインの地質学者は「町の地下を走る廃坑がきちんと埋め立てられていないことが原因や」と叫び、廃坑を管理している企業のオッサンに突撃するも「頭おかしいのかねチミィ」と言われ放り出される。それならワイの力でやったるわい!と息巻く彼女はベテラン鉱夫のオッサン達を引き連れて地下に潜る。
「廃坑の地図を分析した結果、このままだと病院が陥没して患者が死ぬ。だから爆弾を使って病院の横を爆破してそこを陥没させればノープロブレムよ」とヒロインは力説する。もちろん爆破対象である病院横の空間に係る避難誘導は行わない。この計画性の極致に位置する誇り高き行政代執行の雄姿は「まあなんとかなるやろ、知らんけど」という高度な分析的知性が大阪人の専売特許でないことを明るみに出す。
そして始まる坑道の大冒険。オッサンが刺されて死んだり、オッサンが「俺は無実だ」と叫んで逃げ出したり、オッサンが「俺は英雄だ」と叫んで死んだり、よりどりみどりである。みなぎるオッサン達のバーストショットの合間を縫って一陣の風が吹く。ヒロインとその元カレがお互い未練タラタラでラブラブチュッチュ。もう勘弁してくれと呟いた私を責めることができるだろうか。
地上ではヒロインの分析を信じた消防署員が独自に行動を起こしていた。彼はヒロインの作成した地図を発見、分析し、「ヤバイのは病院ではなくスタジアム」と結論付ける。そこではサッカーとかいう労働階級が球を蹴るオッサンの姿を見てヤジを飛ばすという高尚なお遊戯が行われていたのだ。「このままやといっぱい死ぬやん!」消防署員は悲嘆にくれる。
すると突如地下にいて地上と連絡を取る手段の無いヒロインは「スタジアムの横を爆破するのよ!」と叫び爆破を行う。もちろんスタジアムの横にある駐車場には避難勧告もクソも無い。しかしながら爆破はクソ映画界の神の見えざる手により調節され無事成功。企業のオッサンはポリスメンに連行されてコングラチュレーションである。
ご都合主義やテレパシーとしか思えない地上地下の連携など、フィクションとはいえ擁護できない点も多かった。しかしゴミクズと断罪するほどの悪逆の作品ではない。世界丸見えテレビ特捜部のVTRに毛が生えた程度の作品だが、本作が犯罪的なゴミだとまで、私は声を荒げる気はない。
総合評価・星3つ(500円の価値有)
★★★☆☆
以上