ネイビーシールズ D-DAY
あらすじ
「こんなものを映画として売る配給こそが悪魔」
ネイビーシールズvs悪魔の大群!パッケージを彩るこの魅力的なコピーを因数分解してみよう。ネイビーシールズは“元”シールズの退役軍人が3人。全員が全員とも引き締まった中年太り体形を誇っている。悪魔も似たようなもので、片手で数えられるレベルの勢力のそれを大群と呼称するのは映画界のサイレント値上げである。
悪魔は女をさらう。そして文句を言う。「こいつ非処女やんけ!クソや!」。何を言っているのか当初は全く理解できなかったが、その愚劣な姿を見ていると、かつて異性との交際が発覚した女性声優に対して「処女膜から声が出ていない」と罵倒した表彰モノのゲスが叫びと共に飛ばした唾が目に入った気がしてとてももんにょりした気持ちになった。とにかく悪魔は処女を求めているらしい。ならば女性声優オタクは悪魔なのだろうか。分析する気も無いし、したいとも思わないのでこれ以上は踏み込まないでおく。
中年オヤジたちはビール腹を防弾チョッキの様に突き出して悪魔のアジトに突入する。M4アサルトライフルとMP7PDWで武装したデブたちは悪魔の手先の“人間”を撃ち倒していく。悪魔とは戦わんのかい!とお怒りのあなたに耳寄りな情報、それはなんと悪魔には銃弾が効かないのだ!
ならば世界に冠たる米帝の精鋭たちはどのようにして悪魔に対抗するのか?その最適解は、そこらへんの木材をクロスして作った十字架で悪魔をブン殴るといった高度戦術機動である。ボカボカと音がしそうなジャイアン的戦闘シーンはきっと視聴者のド肝を抜くことだろう。悪い意味で。
ゲバ棒持った中核派みたいな気高い戦闘シーンがひと段落すると、アメリカ政府は決断する。「なんかまあよくわからんけどとりあえず爆撃すれば解決するやろ」といって爆撃機で悪魔を攻撃しようとするその雄姿からは尊崇に値する伝統芸能の威風がにじみ出ている。
この愚か極まる攻撃に対して、お腹プリン体オヤジは発煙筒を両手に振り回し『ザ・ロック(1996)』ごっこではしゃぎまわって爆撃を回避してメルシーボークーである。
この映像をもし現役のシールズ隊員が見たらどう思うだろうか。何のために俺は軍に志願したのか。なんのために地獄の訓練に耐えているのか。クソ映画界というニッチ産業のおもちゃにされて・・・。鑑賞後に真っ先に感じたのが作品への感想ではなく現場兵士への同情という点において、本作はその存在意義をフィルムの歴史に残すことはできなかったと考えるべきだろう。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上