カリフォルニア・ブロウ
あらすじ
「国民突撃隊」
わけのわからん疑似科学理論によってロサンゼルスがマグマでフッ飛ぶという本作はどこに出しても恥ずかしくない量産型のディザスター・ムービーである。
最初からもう申し上げておきたいが、本作の基本骨子はスカスカもいいところであり、ゼロ戦のフレーム並みに穴が開いている。かといって本作にはゼロ戦ほどの機動力は無い。ここまでグダグダ形容する意味もないと思うがもうすでに書いてしまったしバックスペースキーを押すのもめんどくさいのでこのまま書くが一言で表すと本作はゴミである。
主人公のオタクがクレイジーな地質学者&女優とトリオを組んで、アホな行政当局の裏をかいてマグマを阻止する!この素晴らしい物語のどこに不服があるのだろうか。
まず第一に主役級のクレイジー地質学者がクレイジーでもなんでもない罪である。1回電話でキレて叫んでたぐらいで後は普通に調査機器をつかってマグマを調べる。そんな無個性単純作業員たる自称クレイジーは物語前半で特に活躍することなくマグマに飲まれ無事死亡した。
上述のクレイジー学者のライバルとして登場する行政当局側の学者も問題だ。彼らは学説の差異によって対立しているわけではない。ではなぜ仲が悪いの?それは昔行政側学者のカノジョを自称クレイジーが寝取ったからである。要するにこの2人の学者は珍棒に由来する性的興奮の果てに対立へと至った知的生命体であり、そこから「学者」という祖国を支える知的職業の輝きを見出すことは不可能である。
そもそも行政がそこまでアホではないという点も問題だ。ストーリーの都合上、後半の対マグマ戦で失策を犯すも、作中冒頭で壊滅するロサンゼルスから迅速に市民を避難させることに成功させている。災害において最重要と言える初期対応を完璧にこなしているその姿を批判することは不可能である。
その他脇役陣も魅力たっぷりである。「患者を残して逃げることはできない!」と断言したはずが、迫るマグマを前にして患者を口分田のごとく放置して逃散する女医。「俺の任務はこの発電所を守ることだ」と啖呵を切りながら発電所がヤバくなったらそれを爆破して逃げ出す大尉。こんな大人になりたいと思うこと待ったなしである。
本作は、ストーリーの骨子となる対立構造がそもそも成立しておらず、そのガバガバの骨子を彩るのは個性無き、あるいは個性があってもそれが嫌な方向にブレている登場人物たちである。弱兵がROE(Return On EquityではなくRules Of Engagementの方)無しで戦っているようだと言えば伝わるだろうか。その意味では本作はクソ映画界のベルリン防衛戦である。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上