ワンコイン・ムービ-レビュー

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グリード


あらすじ

「ワニは置いといてスベろう(笑い的に)」

 

 パッケージに君臨し視聴者を威圧せんとする巨大ワニ。これが本作において登場するのは上映時間92分のうちせいぜい10分弱である。これを弱小戦力のネズミ輸送と捉えるか、小規模企業の管理職が言いがちな「ウチは少数精鋭だから」という矜持と捉えるかは個々の判断力に委ねられるだろうが、後者を選ぶ人民の割合が限りなく低空飛行するであろうことを予言して先に進みたいと思う。

 

 10分程度だけ姿をチラ見せするワニの代わりに何が投入されるかというとそれはギャグである。デブのゲイが地獄の様につまらない漫談を92式重機関銃の様に低速連射してくる醜態もさることながら、主役級のワニワニパニックマスターのオッサンと新米ウーマンコップの痴話げんかコメディがM3グリースガンの様に低速連射される愚行もさることながら、ワニワニパニックマスターオヤジは娘とうまくいかなくてまいっちゃうんだぜガッデムシーンがショーシャ軽機関銃のように低速連射される。

 

 上述した愚かなコメディ要素が3点バーストで叩き込まれる92分間はどうあがいても絶望であり、生きる煉獄である。登場する悪役もギャグテイストで緊張感など微塵も無い。背景を彩るBGMはそこらのフリー素材をパクって使いまわしているレベルであり、これも世界観の爆撃に一役買っている。

 

 本作を組み立てている要素から「構成」という幾何学的な美しさを読み取ることができるとすればそいつはガンジーの生まれ変わりか何かだろう。とりあえず笑いを取ってあとは流れでなんとかなるやろ!あと時々ワニ!といったふざけた経営努力をどう称賛すればよいのか私は答えを見つけられない。

 

 こんな映画をみるならば近所の中学校の文化祭に侵入して、いちびった中3生が演じる内輪ネタのふざけたお遊戯会でも見た方がまだ次世代への息吹を感じられるだけ生の感覚を味わえるだろう。成人した職業人が作ったというにはあまりにもお粗末な本作から何か肯定的な学びを得ることは不可能であると断言して筆を置く。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

 

以上