ワンコイン・ムービ-レビュー

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マーズ・オデッセイ

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あらすじ

「トイレットペーパー以外は流さないでください!」

 

 環境破壊で地球がガッデムになった近未来。人類とかいう薄汚い種族はその存亡を賭けて火星に移住していた。マーズ・ニューヨークだのマーズ・ロサンゼルスだのといった地球を模した都市を建設して悦に入っていた地球人。そんな彼らを火星の災害が襲う。そう、超巨大砂嵐である。

 

 わざわざ舞台を火星というオープンワールドに設定しておきながら、まさかの砂嵐である。発想の自由度と柔軟さをオウンゴールさせながら物語は進む。電磁界がどうの荷電粒子がどうのといった疑似科学は、視聴者の脳を蕩けさせるのに必要な最低限の量を確保している。

 

 登場人物たちに襲い掛かる超大型砂嵐、通称ゼウスとあだ名されるその威力は見るものを圧倒する。チンケなCGによって描かれる黄土色の砂嵐、唐突に吹き飛ばされていくモブ。散発的に投入されるそのシーンは、さながらウンコを下水道に流し込まんと猛り狂う水洗便所の様で実にブルーレットである。

 

 主要登場人物の1人がレズビアンであることを告白するが特に何も起こらないシーンや、火星移住に反対し1人地球環境再生のため尽力していた学者が突如「火星には俺が必要だ」と政治家の様に信念無く宗旨替えするシーンなど、あってもなくてもどうでもいい心のぜい肉は確実に視聴者のヘイトゲージを貯めることに貢献している。

 

 なんかよくわからん棒を3つブッ刺して起爆すれば砂嵐は消滅するという素晴らしい啓蒙思想により登場人物たちは棒をブッ刺していくが、その出来は1リットルのペットボトルをくりぬいてビニールテープで着色したような出来であり実にバロック的である。

 

 火星らしいロケーションや美術は期待できず、ストーリーも疑似科学系の系譜としてはパンチ不足、キャラクターも無駄が多く演出不足。本作は大きな瑕疵はないかもしれないが、全体的にステータスが低い模範的劣等生である。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上