あらすじ
「地球滅亡後の近未来を舞台に、新型ウイルスでゾンビと化した化け物とゾンビの掃討に乗り出したゾンビハンターたちの死闘を描いたホラーアクション(amazonより引用)」
本作は山道を散歩しながら出会ったゾンビを撃つだけのレール・シューティング的な映画である。本作の敗因は作品の世界観が描けていない点につきる。荒廃した街、迫りくる敵、登場人物の魅力、全てはゼロである。
傑出した失敗点は、バウンティ・ハンターのシステム描写が皆無であることだ。主人公はゾンビをハンティングする。ハントしたゾンビをカウントするために指を切り取り、それを報酬と引き換えにする。説明セリフで以上が明らかになるだけでその後の描写はゼロである。
主人公の人生と密接にかかわる仕事でありかつ、荒廃した世界に新たに現れ、社会の治安を守る動力炉として機能するはずの組織が、描けていないというのは背骨のない脊椎動物の様なものだ。
本作の美術や演技指導についても見るべきものはない。小道具のコルトSAAはプラスチック丸出し、役者はピストルのトリガーを中指で引き、ボルトアクションライフルへの装填動作はデタラメにもほどがある最低の極みである。
「俺は少量ずつゾンビウィルスを摂取することで、対ゾンビウィルスの抗体を持つことに成功したぜ!」、ゾンビ映画で主人公が突然こんなことを言い出し、しかも抗体の設定が全く生かされないと言えば本作の恐ろしさが伝わるだろうか。その抗体とやらをめぐって何か話が作れそうなものだが本作にその力は無かったようだ。
「ゾンビに噛まれた!でも抗体があるから大丈夫や!」「ライバルのバウンティ・ハンターに撃たれて腹部貫通銃創!でも抗体があるから自然治癒するで!」ドラえもんの代わりに濫用される抗体を見ていると、湧き上がる感情は虚無である。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上