ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

サバイバル・フィールド

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あらすじ

「どう解釈しても絶望」

 

 絵の具でできた弾をエアガンで撃ち合うゲームで遊んでいたオッサンやオバハンが謎のハンターから実弾で銃撃されて各個撃破されていくという本作が目指したものは果たして何だったのだろうか。私には理解しがたかった。

 

 銃撃戦という、深刻な死の質量を冒涜するゲームで遊んでいた連中に対する天罰劇とみなすべきだろうか。戦争を題材としたゲームで仮想の生死を楽しむ不届きなゲーム脳に不快感を感じる人間はそれなりにいるだろう。もしそうであれば、私は本作をそれほど好きにはなれない。

 

 なぜなら、そんなことを言い出したらかなりの数のスポーツが否定されるからだ。例えば剣道や弓道はどうなるというのか。これらの起源も、たぐりたぐっていけば殺人である。それを非致死性と規範で統制し、心身を錬成可能なスポーツとして実用化したその努力は称賛こそされ罵倒の対象にすることは妥当ではないではないか。戦いをルーツにもつなんてお下品ザマス的な論調に首肯することは私にとってはアナルファックである。

 

 いや、深読みのし過ぎだよ!本作はただの理不尽系のグロ映画だよ!というのならそれはそれで問題である。それは殺害シーンに如実に表れている。殺害の手口はバラエティ豊富だ。逆さ吊りから地面に設置した串に頭部から落下の刑や槍付落とし穴の刑、全身トラバサミの上顔面殴打の刑に対人地雷ダブルタップの刑といった残酷な手口は描写される。サーマルスコープ越しに。

 

 画面を彩るはずの赤褐色はその存在を抹消され、レントゲンみたいな味気ない画像がのっぺりと貼付される。完全にパンチ不足である。血と内臓はどうした。なぜ当然の様にサーマルスコープが出てくるのか。

 

 100歩譲って「殺人を起源にもつスポーツはクソ」仮説を認めるとすれば、舞台をペイントボールではなく銃剣道に設定してほしかった。銃剣道はクソ理論の確立は、日本における最大の暴力装置にとって、きっと有益に働くことだろう。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上