ワンコイン・ムービ-レビュー

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エア・ストライク

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あらすじ

「アパッチは好きです。でもコブラの方がもっと好きです。」

 

 東欧に派遣された米軍軍事顧問団が95分間テロリストをフルボッコにするという本作を一言で例えるならば腐ったピクルスが混じったハンバーガーだと言えるだろう。実に非常に惜しい作品であった。

 

 大正義米帝軍が空と陸から火力優勢をもってテロリストをどつき回す本作は、模範的低知能映画としての優れた外骨格を装備している。お前はエースコンバットかと突っ込みたくなるぐらいに大量投入されるミサイルの暴力。戦闘ヘリのパイロットは半狂乱のホストクラブよろしく「U.S.A.!U.S.A.!」と叫びまくる。レンジャー部隊がマシンガンを撃ちまくればテロリストは「うぎゃあ」とか言って吹っ飛んでいく。

 

 主人公のオッサンは弟をテロリストに殺された設定持ちで、ヒロイン(『アンパンマン』のホラーマンに顔面が似ている)も兄をテロリストに殺された設定持ちである。家族のキズナ、血のつながり、うーん、家族を大事にするアメリカン。

 

 圧巻のラストは主人公の駆るAH-64Dロングボウ・アパッチとテロリストのボスが乗るガンポッド搭載のOH-6によるドッグファイトである。互いのケツを狙い相克する2機が演じる空中戦はクライマックスに相応しいボルテージを提供してくれるだろう。ミサイルではなくマシンガンの撃ち合いにしたところも良い。何が良いのかと問われると答えに窮するが。性癖の様なものだといえばご理解いただけるだろうか。

 

 勝利した米兵たちは歓喜に沸き立つ空気の中で日体大の卒業生の様にコールする。フレーズはもちろん「U.S.A.!U.S.A.!」である。

 

 星4つに相応しい作品ではないかと気分は上々であった私だが、どうしても許せないシーンが私の内的世界を曇らせた。では語ろう。腐ったピクルスについて。

 

 主人公は戦闘の最中、テロリストの金庫を見つける。彼はそこで2、3の札束を窃取するのだ。この映画は偉大なるアメリカを描いているのではないのか?主人公よ、お前は世界の警察官たるアメリカの兵士ではなかったか?テロと戦う正義の戦士ではなかったか?復讐に燃える闘士ではなかったか?

 

 ポケットに札束をガサガサと忍ばせる所作、そのド汚さは万死に値するといっても過言ではない。そこ以外の出来が良かったからなおさら目立つ。お気に入りの服にしょう油をこぼしてしまった様な何とも言えない不快感が否定できない。たった数秒の所作が95分の努力を処刑する、そのことを学べたことを良しとして筆を置く。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上