ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ウイルスハザード

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あらすじ

「必要なのは敬老」

 

 倫理を顧みない製薬企業の悪行により一般市民がオーマイガッデムという本作は、複雑でも何でもない単純な映画だが、単純に楽しむことはできなかった。

 

 その理由の1つは「悪役の行動原理ようわからん問題」である。製薬企業に雇われた黒人のオッサンは述べる。「ワクチンを開発したい。ところで廃屋に独居しているババアは土着のウイルスのおかげで無病息災。ならば!ババアを企業のウイルスでブッ殺してDNAを採取したろ!」である。

 

 私の器が小さいせいだろうか。映像文脈においても、こうして文字に起こしてみても、ババアを殺す動機が不自然すぎではないか。ブッ飛んでいる。ババア lives 無病息災の根拠をどうすれば土着のウイルスに求められるのか。DNA取るだけなら殺さなくてもええやないかという疑問点を止められない。

 

 製薬企業にクビを切られ、晴れて立派な無職となった黒人はウイルスを大量増産して都市部に散布しようと企む。「世界は破滅を求めている」と彼は言うが、破滅したのはお前の職歴であって世界ではないと思う視聴者は私だけではないだろう。

 

 もう1つ。最大の理由として「ババアをナメるな問題」について語らせていただきたい。彼女の存在は鴻毛の様に軽い。ああ、愛すべきグランマ。連れ添った夫の死後収集癖が加速して生活に支障をきたしているという設定はクソの役にも立っていない。あげく中盤で雑に殺され、その割にはラストシーンで彼女の墓がアップになる。これは何を意味しているのだろう。

 

 そう、それは都合のいい存在。ババアは作品のふいんきをそれらしく整えるためのスパイスとして投入され、そして殺されたにすぎないのだ。作品に必要不可欠だからキャスティングされたというわけではない。もしババアの存在を本作から抹消したとしても話は成り立つ。普通のパリピ壊滅劇として。

 

 ラーメンにコショウをふる感覚でババアの殺害をトッピングしてくる本作製作陣。私は1人のおばあちゃんっ子として本作に抗いたいと思う。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上