ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

サイコ・シスター ~呪われた修道女~

あらすじ

「ボディパニッシュメント(適当)」

 

 調子こいてるヤンキーのメスガキをキリスト教系の寄宿学校で厳しく教育しよう!これを日本語に翻訳すると「Totsuka Yacht School」となります。殴ればガキが更生するという理屈は日本だけでなく万国共通の浅慮であることを確認できたことだけが本作の功績であろう。

 

 やがてメスガキの内の1匹が神父と恋仲になり身重になってしまう。それに気づいたシスターはもちろんメスガキに体罰を加えるも反撃を喰らって無事死亡。妊娠したメスガキは神父に捨てられてシングルマザーになる。

 

 そして年月は流れて立派なオバタリアンとなった元メスガキ達がシスターの怨霊にブチ殺されていくという微笑ましいヒューマンドラマが本作の流れである。

 

 特に映像的に見るものは無く、造形やキャラ立ちも凡百。「洗礼名に基づいてプチ殺しますわよ」といったストーリーテリングの意味の無さも感涙ものである。この手のホラーにありがちな「くるぞ・・・くるぞ・・・、デデーン(効果音)、キャー(悲鳴)」といった怖がらせお化け屋敷モードの実装が小規模であった点については良心を感じたがそれぐらいである。

 

 まともに評価できる点がない本作であるが、本作をアンチ・クライスト映画と認定し再評価することは可能であろうか。シスターの体罰は何の教育効果も無くむしろ反撃を誘発している点。カウンセラーの外套を被って生徒とエロいことをした神父サマ。すなわち「キリスト教はクズやで」ということを本作は伝えたいのではなかったのだろうか。

 

 少しはマジメに考えたのだが、この解釈は成り立たない。なぜなら「教会の聖水がシスターの霊を抑えていた」という設定があるからだ。ヤバいのはシスターであってキリスト教ではない。もちろん「じゃあなんでそんなヤバい奴をシスターにしたんだ」と呟いた私は罪深き憐れなチンパンジーなのだろうか。

 

 体罰は禁止!当たり前のことだが、言うは易く行うは難しとはこのことだろう。18世紀後半のフランス軍や19世紀前半のプロイセン軍では体罰は禁止されていた!などとほざいたところで実態はどうだったのかと言われればグウの音も出ないし、我らが父祖にして誇り高き明けの明星大日本帝国軍に至ってはお察し、自衛隊にしても・・・であろう。にもかかわらず体罰に全てを丸投げする思考停止主義者が多いのは何故だろうか。「言ってもわからないなら殴るしかない」という美の極致にある論理式を信じるならば、まず「言っている側は本当にちゃんと言っているのか」という自己の能力分析を行うべきである。もちろん聞く側が全て意欲と能力を兼ね備えているなどというつもりは無い。しかし「俺は自分には優しく他人には厳しい」といった高潔な価値観に通じるこの論理式を嫌悪することにためらいはない。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上