ワンコイン・ムービ-レビュー

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エイリアン IN キューブ

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あらすじ

「塩ダレがかかったもやしみたいな“モンスター”がちょろちょろがんばる」

 

 脱走したゾンビ型の生物兵器が研究所内で兵士や科学者を襲うという本作。エイリアンでもなければキューブでもない、この正眼に構えたパッケージ詐欺はこの業界の良いところである。

 

 ヒロインのメスブタはかわいそうなオンナノコ。彼女は研究所の研究員からなんかよくわからん菌を移植される。曰く「第二次大戦の北アフリカ戦線でナチスが鹵獲した堕天使ルシファーの菌」がそれらしいのだが、このわずか一行たらずの一言が歴史や宗教、科学といった多方面に喧嘩を吹っかけていないと解釈できるのは甘く見積もっても小学校低学年までだろう。ナチスと言っとけばなんとかなるやろといった、映画界において散見されるこの悪手が、善良な同志市民諸兄の非難の対象となるべきことは私などが言うまでもないことである。

 

 映像としても本作はゴミクズである。具体的に言えばそれは明滅。消えかかった蛍光灯の様にチカチカと点滅するその画面は恐ろしいほど訴求性が無い。おそらく製作陣は点滅を、例えば心臓の早鐘の様に利用することで恐怖心を煽ろう!などと考えたと、好意的に考えれば解釈は可能であるがそれは牽強付会と言わざるを得ない。その根拠は乱発にある。

決めるべきシーンで使うといった、たとえば老親衛隊の投入の様な決戦兵科の運用の様に点滅が利用されるならともかく、それは終始画面を占拠し続ける。量の増加は質の低下である以上本作の表現手腕は回転ずしで自分の一番好きなネタ1つしか注文しない味覚未発達のクソガキと同レベルである。

 

 宇宙船が惑星軌道上を航行するような舞台設定にもかかわらず、兵士が持っているのが20世紀の銃であるところも萎えるポイントである。もちろん使用するのはベレッタ92とコルトM4である。とりあえずベストセラーの銃を出しとけばええやろという我脳死小道具選択手腕は本作に限った問題ではないのだが、それが余計に腹が立つ。

 

 本作はナチスとルシファーを免罪符に敵前逃亡を図った、特に優れた点を持たない量産型のモンスターパニックである。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上