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マシンガン・シスター 復讐の天使

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あらすじ

「セックス!ドラッグ!バイオレンス?」

 

 麻薬工場を営む極悪修道院でシスターがシャブ漬けにされてエロい仕事までさせられたからブチ切れて男どもを殺すぜという、いわゆる復讐モノである本作のセットアップは極彩色の美徳である。

 

 ヒゲと脂にまみれた汚らわしい男達。しみったれた薄暗い修道院。セックスは暴力的で、そこに愛情など一片も無い。売春宿はバイオハザードの洋館みたいで、ならば上半身裸で麻薬を袋詰めにするシスター達はおっぱいのペラペラソースである。

 

 本作の汚点はそれらセットアップを灰燼に帰すアクションシーンの貧弱さである。オッサンたちが「ガハハ」とか言ってるところにシスターがノーリアクションで登場、棒立ちで持っている拳銃をドキュン、この定型的襲撃シーンが数回、散発的に投入される本作からどのようなカタルシスを抽出できるのかで世界は紛糾するだろう。

 

 せっかく準備した舞台を生かしきれずに自爆するという本作のスタイルは、入念にしゃべりの準備をしておきながら本番のプレゼンで配布資料を忘れる新入社員に通じるものがあると言えば伝わるだろうか。暴力描写やアクションにもっと力を投入していれば化けていたかもしれない作品だけに残念さはつのるばかりだ。

 

 銃に愛情が全く感じられなかったのもマイナスポイントである。最初にシスターが手に入れるのはスコフィールド・リボルバーという19世紀の骨董品である。何も考えずに見た目で小道具起用したんだろうなと思ったのも束の間、シスターはナチュラルにベレッタ92を使いだす。拳銃=ベレッタという、ライフル=M4と同様の安直な数式に腰かけた本作の怠惰に吐き気を覚えつつ、最終決戦まで耐え忍んでいると、シスターは決戦礼装としてドラムマガジンを装着したトンプソン・サブマシンガンを装備する。もちろん何故トンプソンなのか?ドラムマガジンなのか?という理由は存在しない。善良な読者諸氏と共有していると信じているこの銃に対する不正義への怒りはどこに振り下ろせばいいのだろうか。映画にもっと女を出せとか黒人を出せとか騒ぐヒマがあるならば、同じように映画にもっとCR-21を出せとかスタームルガーのスーパーレッドホークを出せとか叫んでもいいはずなのにそれをしない映画人達の怠慢を、ここに断固として告発し、本作が社会の木鐸であることを思い出してもらえればこれ以上の喜びは多分ある。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上