あらすじ
「革命をナメるな」
主人公のメスブタはみんな大好きキングオブジャスティス米帝軍に義勇兵として参加したミリタリー系女子である。なんと彼女は超能力者であり同じく超能力を持った仲間たちとアメリカ軍のためにがんばる。TKと呼ばれる彼女たちの部隊の活躍。それは町工場の溶接工のような重苦しいマスクをかぶってパイプ椅子に着席し眉間にしわを寄せて喉を鳴らすというビビッドなアクションである。このくだらない茶番の結果、米軍は無関係の田舎町を誤爆する大戦果を挙げることに成功、TKは自壊する。
その後はヒロインが「なんで誤爆してもうたんや・・・」と呟きながら軍を脱走し、イケメンと呼ぶにはほど遠い微妙に幸薄そうな顔面を搭載したオッサンと共闘、誤爆を裏で仕組んでいた悪い大佐をボコった後、オッサンとラブラブチュッチュしてハッピーエンドという脳が腐りそうなロードマップを描いてゆく。
どうでもいいことだが「TK」という単語を聞いてかつてちょび髭の野望に対し敢然と立ち向かったポーランドのチビ助を、即座に想起した私の脳は何らかの固定観念でこりかたまっているのだろうか。識者による見解が待たれるところである。
本作を一躍スターダムの地位に押し上げたのはその重厚を超えて重圧とも表現すべき俳優陣のアクション演技に求められるだろう。ヒロインは超能力を使う。棒立ちで手のひらを相手に向けて和田アキ子の様に「ハッ」と叫ぶ。後は出来の悪いCGが悪趣味な水彩画の様にモニタを汚してくれる。これに対抗するオッサン達は超能力を使う。棒立ちで手のひらを相手に向けてダチョウ俱楽部の様に「ヤー」と叫ぶ。後は出来の悪いCGが何も考えていないキュビスムの様にモニタを汚してくれる。
悪役の大佐もアナルファックである。彼は超能力を悪用し「革命を起こすのだ」と息巻く。しかしながら作中を通して彼のビジョンは全く描かれなかった。彼はただサンフランシスコやワシントンをノリで攻撃しただけである。冒頭にも書いたが、革命をナメないでいただきたい。
革命をどう定義するかは論者によって差異が出るだろうし、ましてや私のごとき無教養な馬鹿豚ポップコーンが「革命とは~」などと息巻くことは身の程をわきまえぬ蛮行である。しかしその愚劣を見逃していただけるのであれば、革命を定義するにあたって欠かせない要因として「統治の目標と理念そのものが入れ替わるような国政の変革が行われること」は欠かすことができないだろう。ならば、本作の大佐の様にただ武力で政権を攻撃し転覆を図る行為はテロやクーデタであれこそすれ革命ではないと断言できる。
なぜ本作製作関係者は革命という言葉を選んだのだろうか。革命という言葉を安っぽく使わないでいただきたい。21世紀になってなお、ジャコバン左派にシンパシーを抱く1人のブラザーオブチンパンジーとしての、これは独立宣言である。
総合評価・星2つ(500円の価値無)
★★☆☆☆
以上