タイム・ワープ
あらすじ
「劣化版ドラえもん」
連続殺人事件を捜査していたドイツの刑事がひょんなことから東西冷戦時代にタイムスリップ!でもタイムスリップしたからといって特に捜査に論理的影響があるわけではないぜ!という本作は、歴史という名の雄大な大河に垂らされた一本糞である。
幼児時代の妻と公園で遊んだり、若き日の義母にホレられかけたり、シュタージに殺されそうな実父を救って未来を変えたりする。これら本筋にかかわらない野比セワシ活動に多くの時間が割かれる。では本筋の捜査は如何?
過去と現在に架かる跨線橋は存在しない。Aという過去が明らかになることによって現代パートのBという出来事につながるといった因果関係を見出すことは不可能である。歴史を題材にしながら、これのどこが大河だとの思いが頭蓋の中で反響する。
「この女学生メルケルやん!若い!」「東ドイツの車の性能はカス!」といったどうでもいい懐かしネタの投入や、「シュタージのクソどもが!」「チミィ何を言っているのかね?」といった手に汗握る猿芝居が見るものの琴線を切断していく。
そして明らかになる真実!「犯人はシュタージ幹部の変態ドラ息子です」とのご神託を受け取った主人公は現代に帰還、変態を無事狙撃してファイナルショットである。
本作において主人公のファッションは一貫している。革ジャンにGパン、スニーカーのアメリカンスタイル。この堕落した西側の退廃的敵性装束に対してシュタージを含む上司たちは「やめとけよ(笑)」と媚びへつらうような笑顔と共にスパルタ教育してくれる。シュタージとはこんなに甘い組織だったのだろうか。
現代パートにおいて、主人公はSIG SAUER P228を装備する。過去パートではそれが突如マカロフに変わり、現代に帰還した後はまたナチュラルにP228に変わっている。服装には無頓着だったのに、銃にはこだわったのだろうか。いや、違うだろう。何の描写もなく銃だけが忽然と入れ替わるその様は見るものが見ればホラーである。銃を甘く見る時、キモオタが貴方を覗いているのだ。ポリティカルなんちゃらよりも銃に配慮を。当ブログはCR21を応援しています。
総合評価・星2つ(500円の価値無)
★★☆☆☆
以上