ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

イーオンナ・セックス

あらすじ

「人間は中身!(ダウト)」

 

 パッケージにズッシリと貼付された、豊満なボディ・モデルの四肢とその上に載せられたポプテピピックの雑なコラージュみたいな顔面を見た刹那に、私は期待した。「この微笑みデブがポルノを変えてくれるかもしれない」と。低俗であれ!低俗であれ!その表現はおそらく反権力と親和性があるはずだ、などと自分に都合のいい想定に溺れつつDVDを再生する。流れ出した96分間に意味はあったのか。私はまだ答えを見出せずにいる。

 

 出版社に勤めるオッサンがレズの幼馴染と同居しながら今カノや元カノとセックスをしたり、モブキャラがセックスをしたり、本作はそれだけの作品である。カメラワークはちょくちょく動いているため、今までに見たポルノの「定点固定の広角レンズで90分コース」という地獄からはかろうじて脱することに成功しているが、その程度の脱出劇に一体何の価値があるのかと問われれば私は返す言葉を失うだろう。

 

 レズの幼馴染はカメラマンで「天使と悪魔」というタイトルで作品を撮ろうとしている。多少は絵になるかもなと思っていた私の脳髄をクソ映画界のHIMARSが砲撃する。画面を彩るのは天使。ブリーフ一丁のマッチョマンがチョコボールのエンゼルみてぇな純白の羽を装着している。「いいわよ!その調子!」と煽りながらシャッターを押すカメラマン。控えめに言ってナイトメアである。「これが・・・デビルメイクライなのか・・・」などとうわ言を呟いていると、カメラマンのアシスタントの女とブリーフマッチョが交尾を始める。私には何もできなかった。

 

 物語は終盤。今カノとも元カノともうまくいかねえじゃんと酒に逃げるオッサンに対してレズの幼馴染が囁く。「セックスよりも人間の内面・中身の方が大切じゃない!一緒にいて安心できる人と付き合うべきよ!」。やっと良心的なセリフが聞けたと安堵したのも束の間、幼馴染は「言おうかずっと迷ってたんだけど、実は私レズじゃないの」と告白。その後はオッサンと幼馴染が流れるようにセックスをしてWHEN DINOSAURS RULED THE EARTHである。

 

 肉体よりも精神が大事と演説してからの肉欲まみれハッピーエンドをどう捉えるか。本音と建前を上手に使い分けた実利志向の正当性を主張する本作の現実主義はかのタレーランを超えたと言っても過言ではないだろう。すなわち本作は「絹の靴下に詰まった糞」よりもはるかに高みを行く下痢便との賛辞を受けるに値する。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上