ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

戦革機銃隊1945

あらすじ

「こどもにやさしい社会を!(選挙ポスター風偽善)」

 

 時は1945年、舞台はヨーロッパ西部戦線。濃いヒゲのアメリカ兵と薄いヒゲのアメリカ兵が戦場から脱走した。2人は拳銃を突き付け合って罵り合うラブリーなジャーニーを満喫する。彼らが馬を見つけてウキウキで2ケツするシーンを見たときには、私は戦争映画を見ているのかゲイ向けのPVを見ているのかわからなくなったことを告白せねばなるまい。

 

 そうこうしていると彼らは廃墟のビルディングにたどり着く。そこで現れた推定50代の女性に向かって濃いヒゲはピストルを突き付けておっぱいをナメナメするも返り討ちに遭う雄姿を披露する。ナチス・ドイツ兵と勘違いされた彼らはロープで縛られ拘束される。そして明らかになるビルディングの謎。

 

 おっぱいナメナメされババアとその連れのジジイは障害児福祉施設の職員だった。しかし施設が空爆を受けて壊滅。そこで彼らが思いついたのは「障害児を少年兵にカスタムしてナチス相手にゲリラ戦を展開しよう!」である。子どもの権利条約もクソも無い戦時中の判断とは言え、論理性の欠片もない傑出した判断力と言わざるを得ないジジババの策士ぶりは、かの海のリハクに勝るとも劣らないだろう。

 

 やがて登場するナチス・ドイツ軍相手にジジババwith障害児軍団とアメリカ兵@ヒゲの混成部隊が戦いを挑む。「機銃隊」のタイトルが表す通り、彼らが用いるのはボルトアクションライフルにピストル、そしてサブマシンガンである。もちろん機銃=マシンガンは使わない。この「マシンガンを使わずサブマシンガンを使う」というスタイルは「どっちも同じ連射でバババとかいう武器なんだから大差ねえだろ」という一般視聴者の銃器に対する思い入れを代弁した屈指の表現技法であることは自明である。

 

 本作の白眉はナチス・ドイツ軍が投入する戦車の造形だ。兵器に詳しくない人でも「タイガー戦車」といえば「名前だけは知ってる」というアレ、そう、「Panzerkampfwagen VI Tiger」のことである。真正面からの決闘に臨まんとするかのような清々しい垂直装甲と冬季迷彩を再現しようとしたのだろうか、本作の美術担当は真っ白に塗ったベニヤ板か何かを四角柱にしてキャタピラの上にちょこんと乗っけるという革命的美的感覚を持って視聴者にガンを飛ばす。「フォルムが直線的過ぎて・・・、これはティーガーⅠというよりもエイブラムスと言った方が・・・」などというくだらない弁護を、私の脳内の寛容派は絞り出そうとしていたが、そんな気遣いは作品評価に百害あって一利なしだということは言うまでもない。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上