ワンコイン・ムービ-レビュー

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バトルロワイアル・アイランド

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あらすじ

「オワコン」

 

 視聴率をガンガン稼ぐぜ!というテレビ局が企画した番組。それは犯罪者を島に放り出して、反対側の脱出ポイントまで行けるかどうかライブ中継するというものであった。脱出できたら賞金5,000万ドルと刑罰免除。選び抜かれた犯罪者は皆凶悪で、強盗殺人犯にテロリスト、加えて売春婦や万引き犯まで勢揃い。万引き犯とテロリストが同列とはこの世界はさぞかし犯罪と言う概念に寛容なのだろう。

 

 旧来の刑法学では、刑罰というものは犯した罪に対して科せられる刑の軽重について国民が納得できるものでなくてはならないと考えられてきた。しかし金のために人を殺す事と金のために股を開くことが同列であるとの本作の判断は、愚昧で凝り固まった守旧派のロジックを崩すことに一石を投じる人道的一歩であろう。

 

 チームは赤青緑黒灰の5つに分かれて、食料とナイフを支給される。ゲーム開始後、青チームの2人は何の理由も無く海岸でどつきあいを初めて両方とも無駄に死ぬ。「とりあえずこいつらキャスティングしたはいいけど結局使いどころわからんねーから序盤で殺しとくか」との制作陣の思いが垣間見えたのは私の気のせいであってほしい。

 

 これらアホみたいな説明やらが終わった後、みんなそれぞれ島の反対側に向かって歩き出すが、実は島にはゾンビが生息しており、各チームに向かって襲い掛かってきたのだ!なお殴ったらゾンビは死ぬ。これはどういうことやねんとビビる皆。すると灰チームのオッサン(元軍人)が「こいつらは政府の兵士強化実験のため集められた第82及び第101空挺師団の隊員で、実験失敗によりゾンビ化してしまったため核爆弾で処分されたはずだ。それなのに一体なぜ…?」とごく自然な流れで説明してくれる。そんな機密情報をなんで元軍人とはいえ犯罪オッサンが知っているのかは考えてはいけない。

 

 ここで1つの立て板に水を流すような論理が明らかになる。「軍は兵士を強化しようとして失敗した→それを隠ぺいするため核までつかった→失敗兵士をテレビに出して視聴率を稼ぐ」貴方達は情報を隠したいのか公開したいのかはっきりしていただきたい。加えてなぜ82、101空挺を実験台にしたのか。彼らは「プライベートライアン」とか「遠すぎた橋」とかで題材になってる作戦で、ナチス兵相手に切り込みかますようなマッチョの集団である。それを実験台扱いとは人的資源を一体なんだと思っているのか。

 

 まあ設定面については大らかにみよう。しかし上述のイチャモンを全て捨て置いたとしても本作を擁護できる箇所はZERO。インド人もびっくりである。

 

 オッサンとチャンネーが森を歩く。ゾンビが来る。ゾンビを殴打する、あるいはゾンビに食われる。特に見どころのない映像が視聴者を延々と襲い続ける。なんやかんやでなんとか1人のオッサンが反対側にたどり着き、ボートで脱出することに成功する。しかしボートの中には大量のゾンビが詰め込まれておりオッサンはボートの上で食われて無事に海のもずくと化して死んだ。最後に司会者のメガネデブがドヤ顔で「ゴールしたからといって安心しちゃダメだぜ!」といってエンドロールである。じゃあ何のためにお前はルールを設定したのだろうか。

 

 しかし寛容という言葉を忘れてはならない。例えばサッカー。ゴールを決めたのにも関わらず買収されたと思しき審判によりそれが取り消された事例を我々はキムチの匂いと共に思い出すことができるだろう。結局のところルールは破られるためにあるのだ。だがせめて売り物である以上最低限のルールは守ってほしい。これのどこがバトルロワイアルなんだよ。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上