ワンコイン・ムービ-レビュー

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リアメイド

あらすじ

「魂のない朗読会」

 

 「世界的シェアを誇るOSに組み込まれたウィルス対策ソフトが人類に反旗を翻した。これに対抗するために私はウィルスプログラムを作成し電脳空間に投入した。その活動は一定の効果を上げたがウィルス対策ソフトはこれに反撃すべく秋葉原のメイド3人を電脳空間に再現した。」

 

 この筋書きを読んで「頭大丈夫か」と思わない直立二足歩行生物は存在しないだろう。ついでにいえばこの筋書きは本作中で小汚いヒゲデブの役者がラップトップに向かって読み上げてくれる出血大サービスによって提供される。映像表現を放棄し安易にセリフに逃げたその闘争本能からは勇者の風格を感じざるを得ない。

 

 なんやかんやで秋葉原のメイド3人が戦うわけだが、彼女たちの武装は段ボールとダクトテープで作ったのが丸わかりのおゆうぎ会である。これが幼稚園児の工作物なら微笑みと共に眺めることができるだろうが、曲がりなりにも映画を名乗る製作物がこのような堕落した粗大ごみをいけしゃあしゃあと視聴者に突き付けてくる愚行は万死に値する。

 

 アクションシーンは絶望の一言である。役者は「えいっ(笑)」とかほざきながら手足をプラプラさせる。それだけである。こんなものを運動と呼べるのならばジジイのラジオ体操は北斗神拳扱いである。

 

 予算の都合上あまり指摘すべきではないと考えているCGのクオリティにしても擁護は不可能である。そこらのフリーソフトレベルのエフェクトを使って炎だの銃声だのをとりあえずぶち込んどけばええやろというその醜い精神の何をどう評価すればよいのだろうか。その怠惰は「味付けがめんどいからとりあえずマヨネーズをブチ込んでおこう」と思考停止する料理人の様で実にボナペティである。

 

 最も許しがたいのは製作陣がこれら低品質について自覚し、メタ発言で開き直っている点である。「撮影許可が出ないからこの先は進めないよぉ~ん」といった具合のそれはもはや表現に対する意思を欠いた敗北主義者であり、視聴者同志に対する裏切りである。

 

 たとえどれだけ資源が無くとも自らが生み出す表現物には誇りを持ってしかるべきではなかろうか。そんな魂の欠片すら持ち合わせていない、本作は日本映画界の非国民である。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上