ワンコイン・ムービ-レビュー

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エアポート2014

あらすじ

「アホ」

 

 ハワイ行きの旅客機がウェイウェイしていたら海底火山が噴火してマグマがマジ半端なくてぴえん状態になるという本作の知能指数アオミドロに匹敵するだろう。非常に頭の悪い作品である。当然のことながらこれは褒め言葉である。

 

 巨龍のごとく咆哮する爆炎。40mm連装機関砲を凌駕する火山弾の曳光。背景を彩る空は噴火によって塗りたくられた紅蓮のカンバスである。その間を縫って飛行する旅客機の絵面はさながら『スーパードンキーコング2』の溶岩ステージで『エースコンバット』をプレイしているような胸の高鳴りを視聴者に呼び起こすことだろう。

 

 キャラクターも10代男子の起床時のようにビンビンに立っている。乗客がパニックに陥らないよう最後まで奮戦するキャビンアテンダントと連邦航空保安官。壊れた無線機を改造して外部と連絡を取ろうとするオタクメガネ。皆が絶望する中でもくじけることなく最後まで抵抗の操縦桿を引き続けたオヤジ。ほぼアホがいない。アホがいないということはフィクションでも現実でもビューティフルであるということに異論を差し挟む人間はいないだろう。

 

 ほぼ、ということはもちろんアホはいる。正確には約1名。アホ(若ハゲ)は「飛行機に乗ると気圧で頭が痛くなるから嫌だ」という義務教育未終了児レベルの泣き言をほざきいたと思えば無事パニック状態に陥り散々みんなの邪魔をしたあげく保安官に便所に幽閉された後はパラシュートを奪って脱出するもマグマに焼かれて即身仏になるという勧善懲悪の様式美を提供し惜しまれつつこの世を去った。

 

 唯一気に食わなかったのは旅客機を救助しようとするアメリカ軍の軍曹である。彼は2次災害を警戒する上官の命令に背き文書を偽造して旅客機の救出に向かう。もちろん救出に向かった輸送機パイロットは殉職、軍曹はその間空調の効いた部屋でパソコンに向かって「ガッデム!」とかほざいているだけである。最終的に軍曹の安っぽい説得で上官が折れて救出活動は再開される。もちろん前線に赴くのは上官に率いられた下っ端であり、軍曹は空調の効いた部屋でパソコンに向かって「ファック!」とかほざいているだけである。偉そうに理想論を語る割に自分はその先陣に立たないというスタイルは現実世界でも珍しいことではないが、だからこそホーリーシットであるという点は述べておきたい。

 

 とはいえ、前述のキレイごと軍曹以外は特にラリっている点は見受けられない。高度3,000mのカタストロフィを駆け抜けていく絵面のアドベンチャラスに加えて、まともなオッサン達が暑苦しくウホウホする。あげく解決策は「戦闘機のミサイルで火山をFOX2!」「爆薬を飛行機に積んで火山にカミカゼ!」といった小学校低学年がらくがき帳に書きそうなラストである。

 

 貴方にもし本作91分間を耐えきる勇気があるならば、「良い意味で頭悪い」という意味を視聴後に理解できるだろう。500円なら買って損はないと愚考する。

 

 

総合評価・星4つ(ステキやん?)

★★★★☆

 

以上