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ラスト・ソルジャー 森に潜む兵士

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あらすじ

「戦争はいけないことだとおもいました(適当)」

 

 舞台は鬱蒼とした森林。ガキどもがそこでボコられ、それを捜査しにきた警官もボコられるという負のスパイラルが滑走する。主人公格の男女の刑事コンビが大した活躍を見せない中、老人ホームでテレビを見ていたジジイが立ち上がる。

 

 「第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ軍に抵抗するため武装市民からなる補助部隊が設立されたんや。補助部隊はハーケンクロイツがイギリス本土に上陸して来たらそいつらをメチャクソにできるよう高度な戦闘訓練を受けていたんや。今回の事件はその補助部隊の生き残りが復活して森林内でゲリラ戦を行っているんや。実際犠牲になった警官の制服はナチス武装SSの制服にそっくりやし、民間人犠牲者はドイツ車に乗ってたやん。まかせろ。ワシが説得する。」

 

 まずはツッコミどころしかない舞台背景を準備してくれた本作のプロット担当に心からの感激を贈りたい。単独でゲリラ戦が可能なレベルにまで訓練を受けた補助部隊って、お前もうそれは補助じゃなくてSASだろなどとは言ってはならないのだろうか。また、これは私の主観であるが、黄色の蛍光ベストを重ね着した現代イギリス警察の制服のどこをどう見れば武装SSに見えるのか私のカラーコーディネート能力では理解が及ばなかった。半世紀以上の時を超えて復活した補助部隊の兵が現代のドイツ車を正確に見抜いてピンポイントで襲撃をかけてくるというのも実にナチュラルである。

 

 本質的にフィクションである映画にそんな重箱の隅をほじくるようなツッコミを入れても仕方ないだろ!映像文法を手繰り寄せて本質を見抜け!などとお𠮟りを受けそうであるが、この記事を読んでいる方の99.9%以上が予想している通り、本作を見てから24時間後に何か記憶に残るショットがあるかと問われれば私は満面の笑みでナッシングと答えるだろう。

 

 結局主人公格の男女の刑事コンビが老人ホームのジジイを森林に投入。ジジイが「オーイ、ミズシマ、イッショニ、ニッポンヘカエロウ」的に呼びかけると補助部隊の兵士が登場する。そしてジジイは言の葉を継ぐ。

 

 「戦時中、私は貴方を誤射してしまいました。ごめりんこ。ま、成仏してや」

 

 この謝罪を受け入れた兵士は泡のように消えました。まるで人魚姫のような幻想的なラスト。ガキをはじめとした無罪の人間の内臓をほじくりだして殺しまくった兵士の最後として、このファンタジックな表現が適当であるか否かについてはあえて語るまい。なお当然のごとく老人ホームのジジイは生気を抜かれて道連れにされて死んだ。

 

 主人公格の刑事たちが捜査能力の欠如を露呈しつつ老人ホームからジジイを連れ出して介護していたらなんやかんやで事件が解決するという本作の雑さから何らかの美徳を見出せる人類はおそらくこのガイアに存在しないだろう。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上