ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

Dr.チョッパー

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あらすじ

「高齢者の交通手段について問題提起する意欲作(大嘘)」

 

 パッケージが主張する通り、本作最良の運動絵画は大型自動二輪車を駆る老黄忠である。チョッパーバイクに跨り撒き餌の大学生たちを追い回すマッド・ドクター(87歳)の威圧感はまさに激浪である。彼は走る。中途半端に整備された山中のボロ道を。そのスピードは目測で時速20~30kmといったところだろうか。自動車教習所での高齢者講習を見ているのかと錯覚を催させる直進限定のミミズの様な動きは「映画は運動である」という格言に真っ向から唾を吐くロックンロールスタイルで世界に宣戦を布告する。

 

 「ワシは永遠の命を得るために心臓を移植しちゃうんだゾ♪」と供述するジジイ。彼はドナーとなる撒き餌をブチ殺し、叫び続ける。「血液型があわないじゃないか!」と。部下に看護師を2人も従えながら、採血という選択肢は彼の脳裏を泳がなかったらしい。

 

 パッケージは謳う。「メスが肉体に切り込み、鉗子が舞う!」。もちろん本作でジジイが使用するのはメスではなくサバイバルナイフである。鉗子は登場しない。よってここに配給会社未見映画広告作成罪の構成要件は満たされたのである。

 

 脇役のやさぐれキャラの森林レンジャー隊員は重い過去を背負っている。「俺はある女性の命を救えなかった・・・。だから転職して田舎の森林レンジャーに収まったんだ・・・」。こう独白する彼の過去、それに係る前職は一体何だったのだろうか。答えは読者諸氏の想像の通り、指圧師である。

 

 リラクゼーション業界をコケにするつもりは毛頭ないが、それにしてもマッサージの力不足で消失する命とは一体どのような存在なのか、私の知能では想定できなかった。「指圧 救命 事例」とグーグルに打ち込んだ私の網膜には心肺蘇生の救命事例と専門学校入学の勧誘広告しか流れ込んでこなかった。

 

 Dr.チョッパー。彼は私に指圧師の無限の可能性をちらつかせ、「何か答えが見つかるかもしれない」と期待しつつ時間をグーグルに投げ捨てさせるという戦略的遅滞作戦を成功させたのだ。1812年9月から10月にかけてのブオナパルテ将軍も味わったであろう感情の億兆分の1でも味わえたことを感謝しつつ星を贈りたい。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上