ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ジュラシック・ブリーダー

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あらすじ

「恐竜が現代に繁殖されていた!?地球最古の恐怖が、アナタを襲う!!(パッケージより抜粋)」

 

 「ハァイ私は先住民の血を引く女の子で何もない田舎町に住んでるのお母さんが謎の事故で数年前に亡くなって私の特技は弓矢です」。冒頭からセリフの暴力による状況説明が展開される。なお、先住民、事故死、弓矢の設定はこの後全く生きてこないので忘れ去っても問題はない。

 

 マッドサイエンティストのジジイが小汚い鶏小屋みたいな所で恐竜を飼っていた。彼は突然でんぐり返しをして死亡する。2013年に制作されたアメリカ・ロシア合作映画である本作において、まんが日本昔ばなしへのリスペクトを感じるとは予想外だった。なんやかんやでジジイの死後恐竜が脱走して人々を襲う。

 

 恐竜たちはセックスしていたビッチを斬首したり、シャブ中のデブを丸呑みしたり、大便器できばっていたデブを八つ裂きにしたりする。もちろん人間も負けてはいない。女好きのリア充大学生は「俺はオッパイ星人だ」「俺の人生の目的は精液を出し切ることだ」と高らかにマニフェスト宣言、古代ローマの鎧兜とエアソフトガンを装備して突撃する。「目を狙えば勝てる!」、そう叫んだ彼は瞬殺された。

 

 本作ではメガロサウルスとドロマエオサウルスが登場するが、どちらもただのヤバいトカゲとしか描写されない。製作陣の恐竜に対する愛が全く感じられない。はっきりいってマスラニ・グローバル社以下である。

 

 登場人物が全体的にふざけているのもマイナスポイントである。マッドサイエンティストでんでんでんぐり返ってバイバイバイシーンや大学生エアガンと共に玉砕シーンは言うに及ばず、その他登場人物のやりとりも緊迫した場にそぐわないしょうもないジョークで構成される部分が多く、加点したくても加点できない。

 

 ただ、舞台であるテキサスの何もない田舎町の描写はマシだった。主人公の女性は借金返済のため売春婦みたいな制服を着てウエイトレスをさせられる。ここからは田舎に顕著な女性の権利に対する意識の低さが見て取れる。住民がジジイばっかりというのもチェックポイントだ。田舎経験者ならわかってくれるだろう。リアルで嫌だ。実にナイスキャスティングである。

 

 恐竜映画なのに恐竜に魅力無く、リアルなのは田舎のジジイのみ。明らかなパワー配分ミスであると言わざるを得ない。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上