ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ダンテ01

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あらすじ

「アーメン」

 

 とあるステーションが宇宙を漂っていた。そこにはメンタルに問題がある患者が集められ、企業による心理学的見地に立った治験が行われていたが結果は芳しくなかった。そんなある日、「神の使い」とあだ名されるオッサンが移送されてくる。「神の使い」は不思議なパワーでみんなを癒していく。と、いう骨格で描かれる本作にはマトモな主張がちゃんとある。それは「人を救うのは人ではなく神」であるというメッセージだ。

 

 「神の使い」の放つホイミだかケアルガだかのハンドパワーがオッサンたちを回復させていく。その表現は目がチカチカするだけの悪趣味なネオンのようなCGで描かれる。好きか嫌いかでいえば嫌いである。

 

 神は気まぐれである。「神の使い」は船外活動中に無事消滅する。彼は十字架に吊るされているかのようなポージングで消え失せる。そのバックにたたずむステーションも十字架をかたどっている。要するに磔にされたイエスみたいな構図である。

 

 そして十字を象ったステーションは地球とリンクし、君臨する。そう、地球は神の統治下にあるんや!

 

 好きか嫌いかで言えば大嫌いな類の映画である。私は神など信じていないし、もし神がいたとしてもクソの役にも立たない存在だろう。十分の一税を取り立ててアンシャン・レジームの延命を図るのが関の山のでくの坊じゃねーかとの思いが胸で沸々とエキサイトするのみだ。

 

 受け売りの考え方で恐縮だが、好き嫌いがグラフの縦軸ならば良い悪いは横軸である。したがって本作が良い映画か悪い映画かという判断基準は好き嫌いとは別に考えなくてはならない。

 

 残念ながら私は審美眼も教養も持たない悲しきワーキングプアである。だが一つ、本作について言えることは、主張を持ってるだけそこらのクソ映画よりマシじゃん、という褒めてるのか貶してるのかわからない感想である。まあ褒めてるつもりなのだが。主義主張もなく適当に銃撃って60点をとって金を中途半端に儲けようとする作品が多い中で、本作は「絶対の神とかいう気まぐれでナメた存在がノリで人を救ったり救わなかったり」という希望と絶望を主砲として装備している。

 

 主張すべき主砲すらないまま、非武装で特攻して玉砕する作品の数々に比べれば本作ははるかにまともな映像作品といえることは間違いない。嫌いだが記憶には残った。その意味では本作は低予算映画界のジョアシャン・ミュラである。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上