ワンコイン・ムービ-レビュー

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ジュラシック・ユニバース

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あらすじ

「死刑囚最後の日(Ver.ダイナソー)」

 

 死刑囚をVR空間に放り込んで殺し合いをさせよう!ついでにその様子をテレビ中継して視聴率もゲットだぜ!「残虐刑の禁止」という法学精神に真っ向からゲロを吐くコンプライアンス精神が本作の生みの親である。

 

 数匹の西洋人が「俺は無実だ」「死ねオラァン」「グヒヒヒ」などと供述しながら足を引っ張り合いバトルする。その“ついで”に恐竜も登場する。この手の映画が得意とする、考証もクソも無い、ティラノサウルス型とヴェロキラプトル型の恐竜たちがテキトーに人を咬む。そのフェティッシュブリリアントなアクティビティは視聴者の記憶にきっと何も残さないだろう。

 

 そこに死刑反対派の抗議団体が登場する。「命をもてあそぶ企業に鉄槌を加える」と息巻く彼ら。その武器は言論?いいえ、ハンドガンです。死をもって罪を償わせるなと言いながら、彼らは企業経営陣の脳天を百発百中の腕前でヘッドショットして殺害する。挙句の果てに登場した警官隊との銃撃戦の結果彼らは全滅する。その様は反戦デモで平和を叫びながら警官隊に火炎瓶を投げるも反撃を食らい秒殺されるセクトの闘士さながらで実に世界同時革命である。

 

 本作前半は死刑の娯楽性を描くことでその抑止力の欠如を方程式化し、応報刑論と一般予防の限界を提起したとみることができよう。本作後半は人を殺す死刑反対派を活写することで、体制変革のために自己矛盾を犯し崩壊するラディカル派の過ちを表現していると受け取れる。そこから導かれるものが「社会の改革は漸進的に行うべきである」という主張であることは自明である。

 

 漸進改革主義という意味において本作は保守的な映画ということができよう。私個人の政治信条は急進派に属していると自覚しているので、好きか嫌いかで言えば嫌い寄りの映画ではあるが、主張がきちんとあるだけそこらのゴミよりは億倍マシである。よって星3つを与えようかと考えたが、恐竜に愛が全く無かったのを思い出したので減点1である。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上