ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ジャングル・チェイス

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あらすじ

「女は強し」

 

 シャブ食ってラリってパーリーピーポーしているモデルのクソ女が、「自由な時間が欲しいの」とかいってハイヒールでジープを転がし事故ってジャングルに転落する。さあ、自然による天誅が彼女を襲う!一見すれば本作は単純な「頭悪い系人間に天罰が下る」類の映画に思える。しかし本作をしっかり見つめればそれは過ちだと気づくはずだ。これは実にフェミズモな作品である。

 

 モデルのクソ女と、彼女のマネージャー(男)、この2人を中心に物語は進む。クソ女は当初こそ「大蛇怖い!コヨーテ怖い!ライオン怖い!木の枝が刺さって痛いんじゃ!」と泣き言を連発するが、見る間に環境に適応し自給自足自立する。泥まみれになりながら泥水をすすったり、川の流れに逆らって泳いだり、血まみれの草食動物の腐肉をえぐり取って焼いて食べる。なんというタフネスか。

 

 一方のマネージャー(男)はどうか。クソ女がジャングルで迷う中、彼は人間社会なるうっとおしいジャングルで同様に迷う。そこでの彼は自給自足からは程遠い。パトロンにキレられ、同僚から軽蔑され、クソ女の両親からも糾弾される。モデルを助けようと警察に懇願するも本気で対応してくれない。そして彼は飛行機と車を使い、自らクソ女を探しに行く。面白いのはその道程で運転手を帯同しているところだ。とどのつまり彼は一人ではなにもできないのである。

 

 サバイバルとは生命力の強さである。本作は命を生み出せる女の生命力の強さを描いた作品ではないか。当初はこの考えに対して懐疑的であった。私はフェミニズムに関する知識をまるで保有していないし、そもそもこの手の映画がそこまで考えて作っているのかと疑心暗鬼にも駆られた。しかしラストシーンが私の疑問を氷解させた。

 

 事件の後、クソ女は「モデルを辞める」と宣言。一人で生きていこうとする。マネージャー(男)は「そこに僕はいないのか」と嘆く。そして、本作随一の名シーンが展開される。マネージャー(男)は、インターバルトレーニングでヘバった陸上部員の様な情けなさで「I love you」を絞り出す。その様を見たクソ女は彼の元へと駆け戻り、2人は抱き合ってキスをする。女は一人で生きられる。しかし男は一人で生きられない。この主張はもはや明白だ。

 

 唯一残念な点は音楽である。それはやたら陽気なのである。スーパードンキーコングで流れてそうな曲が、サバイバル映画の厳しいシーンでポンポコ撃ち込まれたらどうなるか、想像にお任せしたい。

 

 

総合評価・星4つ(ステキやん?)

★★★★☆

 

以上