ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

アーマードマン

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あらすじ

「マフィアに全身を焼かれた警官が肉体強化されて復活してなんやかんや」

 

 主人公である負傷警官は、陰謀による薬物投与を受け強力なパワーとスピードを得る。そう、ドーピングであってアーマーではない。もちろんパッケージは詐欺である。彼は全身に広がる火傷の痕を隠すためにレザー製の衣服を装着している。そんな彼の外見は『バイオハザード ガンサバイバー』に出てくるU.T.ユニットに似ているといえばお分かりいただけるだろうか。

 

 主人公は超人ではない。人間的な弱さをさらけ出す。彼は薬物の影響で記憶を失ったことを苦しく思い、火傷でただれた皮膚を妻に見せられないと嘆き、普通の生活に戻りたいと懇願する小市民である。彼はマフィアと戦っているレジスタンスに対して不満を口にする。「戦いが終われば元の生活に戻れるんだからいいよな」と。

 

 ここでレジスタンスのリーダー格である女性が反論する。「レジスタンスを選択した以上戻れるわけがない」「物事は変わるもの。例え自分が受け入れられなくても」。選択が自分によるものか他人によるものかの違いはあれど、人は変化を覚悟せねばならない。残酷だが正論だ。一見突き放すように聞こえるが、この会話は主人公を肯定しようとする冷静な魂である。ここで安っぽく「戻れるわよ!きっと!」とかほざいてキスなんかしちゃってたらどうなるか想像すればわかるだろう。

 

 迎えた決戦のシーンでは、マフィアの実戦部隊のボスが登場し、「俺も薬物で強化したで」と宣言、正面から勝負を挑む。残念ながら戦闘シーンはお世辞にもいい出来とは言えない。腕をつかんで力比べ、素人丸出し大振りパンチ、拾った鉄パイプでチャンバラ。鉄パイプがぶつかるごとに火花を散らすシーンを見て、ライトセーバーにみえないこともないこともないなと思った。結局ボスは薬物の異常で自滅。戦いはこれからだ!で幕を下ろす。

 

 本作においては、カメラを斜めに傾けたアングルがやたらめったら多かったのが気になった。不安か幻想かあるいは中二病感か、何を表現したかったのかは知らないが、やればやるほどいいってもんでもないだろう。少なくとも「警備員がイヤホンで音楽聞きながら踊っているシーン」を斜めからとって何の意味があったのかは皆目不明である。

 

 マフィアの実戦部隊についても一言。彼らは主装備としてL22を使用している。そしてそれはお約束と言わんばかりにジャムるシーンを欠かさなかった。L22は改修を受けた後の銃であるはずだ。にもかかわらずこの仕打ち。「L85系列=ジャム」という偏見は、「刑事事件の加害者の一族もその罪を共有すべきか」という18世紀的法学問答に通じるものがあると言わざるを得ない。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上