あらすじ
「ゾンビ(ゾンビじゃない)×特殊部隊(弱い)!!」
農業関係の研究所でこっそり軍事研究をしていたら無事ウィルスが流出、感染した所員がバグってしまってさあ大変。奥さん、これはもう射殺するしかありませんぜ!という本作は、どんな地球人が見ても退屈間違いなしの一級時間破壊士である。破壊する時間が68分と比較的小規模な点は本作の良心であると信じたい。
パッケージが謳う「バイオハザード」の文字から某有名ゲームタイトルを想起した方もおられるだろうが、その期待は可及的速やかに投棄することをお勧めしたい。そもそも敵はゾンビではない。ウィルスに感染して凶暴化こそしたものの人間である。よって特に頭を狙撃する必要は無く、普通に銃を1発撃てば1人の感染者が死ぬという公正取引が実現される。
おもちゃ丸出しのアサルトライフルを両手に乗り込んできた特殊部隊は、当然の如く神の下へと旅立った。しかしいくら「映画はフィクションである」とはいえ、4人編成でアサルトライフルを装備した分隊が、10人弱の素手の暴徒を相手に火力で負けるという状況はフィクションを超えたフロードとしか言いようがない。
やっと脱出ルートを見つけた生き残りの研究員の男女。そのルートは人一人が入れる土管のような形状で坂道になっていた。すると突然女が叫びだす。「坂道なんて登れないわ!」
この状況が映画ではなく、例えば友人に連れられて陸上部に体験入部したところいきなり坂道ダッシュ10本をやらされた中学1年生女子というのならまだ話はわかるのだが、生死がかかった状況で坂道を上るのが嫌だとゴネだす成人女性、その傲慢な姿が視聴者に残す遺産は負債ではちきれんばかりであろう。
意味の解らない死に方をする特殊部隊に意味の解らない泣き言をほざくヒロイン。彼らに対して「はよ撃てや」「はよ行けや」とつぶやきながらまた一つ歳を重ねていく。そんな幸せを味わえるという意味において、本作は相続放棄されるべき逸品であると愚考する。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上