あらすじ
「パンツに舞い降りた残尿のような違和感」
凶悪犯脱獄!がんばれ!平和な田舎町を守るべく立ち上がった警察署長たち!と思いきや実は警察署長たちの方が悪だった。彼らは街の開発に係りトラブルを犯した先住民の男性にえん罪を被せ投獄したあげく彼の妻をレイプしたのだ。
がんばれ!先住民!警察署長たちをブチ殺せ!まあ、よくある構図である。本作は特に優れたところもないフツーの500円映画かなと考えながらアホ面をさらしていた私の目に飛び込んできた1つのシーン。そこには本作を象徴する違和感が表れていた。
先住民に追い詰められた警察署長が飼料小屋に火を放つ。自らの居場所を明るみにさらし敵を挑発する。燃え盛る炎を背にライフルを構えて立脚する彼のその姿はまさに宣戦布告!
確かに、劣勢にもかかわらず正々堂々正面から主人公に挑みかかる敵役ってかっこいいと思いますよ。例えばダース・モールとか。だが本作においては?「レイプ犯が何かっこつけてんだよバーカ」とは私の感想である。
魂の殺人とも呼ばれるレイプはこの世で最も許せない犯罪の1つである。暴論を覚悟でいわせてもらうが、敵討ちという御旗の元に、殺人ですら正当化される余地はあるのである。レイプにはそれが無い。亡き主君の仇を討つため吉良のアナルを耕作する!こんな話が美談として正当化された日には、ブチ切れた江戸の町民はエブリデイ大塩平八郎と化すであろう。
レイプ犯は無様に断罪されるべき下等生物なのである。しかし本作ではそれをひとかどの敵として描こうとし、玉砕している。これは糾弾すべき大きな瑕疵であると言わざるを得ない。
アクション映画としても本作は失笑ものである。まずは戦術について。「復讐に燃えるヤツの狙いは警察署や!」と敵攻勢目標を正確に把握したレイプ犯たち。ならば攻者三倍原則に従い警察署で防衛陣形を組むかと思いきや、彼らは戦力を郊外に分散投入した挙句、各個撃破される。
次に戦闘について。スコープを装着した狩猟用ライフルがショットガンに遠距離戦で撃ち負けるというコメディシーンもさることながら、警察署長の装備も傑作である。いくら田舎警察の装備品とはいえ、決戦兵装がウインチェスターのレバーアクションライフルってどうなんですかね。
総合評価・星2つ(500円の価値無)
★★☆☆☆
以上