限界戦線
あらすじ
「ソ連軍が対ナチスドイツ軍用に極秘裏に製造していた最強の装甲列車」、パッケージ上半分で調子こいてるそれはとても強そうに見える。しかしそれは張子の虎、すなわちパッケージ詐欺である。まず指摘すべきは装甲列車のくせに装甲化されていないという語義矛盾だ。機関砲も野戦砲もほぼむき出しのまま車体に引っ付いている。無いよりはマシ程度の防盾が空しく空にガンを飛ばす。もちろん装甲されている部分が皆無というわけではない。が、その装甲はリベット接合だ。非常に弱々しい。
装甲列車は重火器を持たない歩兵相手にオラつく。その反面、爆撃機が来ると聞けばビビって車庫に避退する。現実的ではあるが、これが最強の名に値する行為かどうかは火を見るよりも明らかである。俺様は弱い者には強い!こんな決戦兵器に魅力があるなら教えてほしい。
登場人物も中々愉快である。敵として登場するナチスドイツ軍の将校は、杜撰な指揮で兵をあたら失い敵を取り逃したあげく部下に逆ギレするもその部下にキレられ半殺しにされるナイスガイである。こんなフラッギングの対象になりそうな無能をラスボスに据えるあたりは前衛的と評価すべきなのだろうか。
とどめは主役のうすらハゲ親父である。彼はかつてソ連軍の旅団長でありスターリンともマブダチであった。しかし今は訳あって政治犯扱いとなっている。その彼が何故ソ連軍のために戦うのか?本作はこの戦う動機付けに係る描写を全くもって欠いている。そのくせハゲはやることはヤる。道中拾ったナチスシンパの女を軽々しく信頼してベッドイン、一発抜いた後は夜道をブラブラして同僚のおセックスを妨害する。
ハゲは女と哲学を語る。女が「なぜ人は殺しあうの」と問えばハゲは「戦いとは神聖な精神と神聖な空気だ」と答える。そして女は納得する。「美しいけど恐ろしいのね!」。一体どこに納得できる要素があったのだろうか。識者の見解が待たれるところである。
総合評価・星2つ(500円の価値無)
★★☆☆☆
以上