ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

スペース・アドベンチャー クレオパトラ2525

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あらすじ

「無い」

 

 “ビトレイヤー”“ドウォーク”“ウオッチ”、こういった作中の用語が冒頭から何の説明もなく投げつけられてくる。視聴者を置いてけぼりにするならそれでもいい。細かい説明よりもパワーで勝負や!という映画ならまあ分かる。しかし本作では申し訳程度の中途半端な説明が回想という形で挿入される。丁寧にもバカにもなりきれないどっちつかず。SFのくせに世界観が確立されない。悪夢はまだ始まったばかりだ。

 

 ストーリーはゴミクズである。それは前半と後半に分かれ、前半は“妹が悪い奴らに改造されそうでござるの巻”、後半は“オッサンに冤罪を被せられたでござるの巻”である。もちろん両者の間に関連性は無い。30分ドラマを適当に2本切り貼りしたような構成からは作品作りをナメた製作者のプライドが感じ取れる。

 

 登場人物も魅力たっぷりである。ショートボブのアヒル口の女は終始変顔で人の神経を逆なでする才能の持ち主であり、「Xファイルがどうのこうの」だの「フォースと共にあらんことを」だの脈絡のないギャグをぶち込んでこちらの忍耐力をオーバーヒートさせてくれる。仲間の黒人女は謎の意思と脳内で会話を始める。その様は新今宮で昼間から安酒で飲んだくれて1人で会話しているジジイと同レベルである。

 

 迫力満点のアクションシーンも忘れてはならない。パリピ臭のする主人公たちが「ヤバくね?マジヤバイって!」のノリで銃を乱射するだけ。さらにステキなことには主人公サイドはバリアを装備しており、いくら被弾してもノーダメージなのである。もちろん敵は死ぬ。こんなチートみたいな緊張感あふれる戦闘を見てどこが楽しいのか教えてくれる人がいれば是非ご教授いただきたい。

 

 本作はストーリー、設定、登場人物、全てがドブに投擲された産業廃棄物である。戦力とは、必要な時に、必要な場所へ、必要な量を投入しなければならない。本作はそれを完全に無視している点で、戦術論の反面教師として利用できるかもしれない。これは最大限の擁護である。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上