ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ストリップ・アサシン

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あらすじ

「社会階層の垂直移動は難しい」

 

 本作を一言で例えるならば動物園だと言えるだろう。人間と呼ぶにははばかられる愚かな知能の持ち主たちがなんやかんやしている姿を生ぬるい目で見守るのがおススメの鑑賞法である。本作の登場人物達は皆素晴らしい。同じ生活圏にこんな偏差値の低い連中がいたら嫌だなと心底思える人格の出来の悪さには賞賛を送りたい。

 

 冒頭から主人公であるストリッパーとそのヒモによるウィットに富んだ会話が提供される。「他の女の前でパンツ脱がないでよ!」「お前も浮気しただろ!」「フェラしかしてないから浮気じゃないわよ!」貞操観念で満たされたこの流れからはサファリパークのゲートをくぐったワクワク感を感じ取ることができる。

 

 主人公はマフィアがシャブを取引しようとしてイザコザを起こし相討ちになった現場にでくわし、9万ドルとシャブをゲットする。有頂天でパッパラパーの頭をさらにパッパラパーにした彼女はパリで暮らす夢想に耽る。それはマダムと呼ばれフランス男に口づけされる理想郷…。そう、彼女はヌーヴォーなアムールをアヴォワールしてウルーズがエートルとなるヴロワールしているのだ。

 

 彼女はパリ行きの旅券とパスポートを準備しつつ選民思想と排撃思想に身を染める。「私は選ばれたのよ」とベジータみてえに調子をこきつつ、ルームメイトの女友達を「てめえは夢も希望もないクズだ。ストリップクラブで腐っていけ」とクソミソにディスる。しかし、これらハートウォーミングなシーンは長く続かなかった。主人公の家にヒモが侵入、9万ドルがパクられてしまうのである。

 

 主人公はヒモの家に侵入して金をパクり返す。しかしその場をヒモに見つかって取り押さえられてしまう。お次はもちろん仲直りセックスである。下半身で思考する知能の高さを披露した後、主人公はヒモを射殺する。

 

 主人公が帰宅すると、そこにはルームメイトを殺したマフィアを殺したストリップクラブのオーナーが!主人公は迷わずオーナーを射殺する。よっしゃこれでスッキリや!パリに行くで!のはずが、ストリップクラブの会計係に撃たれて主人公は無事地獄へと旅立ちサファリツアーは幕を下ろす。

 

 本作の成功要因は、マフィアが金を取り返すためにいろいろやるも終始空振りに終わっていたところである。すなわち主人公とマフィアを絡ませなかった判断を評価したい。変に背伸びして作れもしないクライム・ストーリーを作るよりも、低偏差値の登場人物が奏でる混声合唱劇を選んだ決断力は賞賛に値する。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上