ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ごくつま刑事

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あらすじ

「シャブおじさん」

 

 任侠道を貫くヤクザ(笑)の若頭が、敵対する組の陰謀によりえん罪をかぶせられムショへと送られる。悲嘆にくれる若頭の妻である主人公のもとに麻薬取締刑事が現れ、「えん罪なのはわかってる。えん罪を着せた組はシャブを売ってるからその大元の情報を探ってくれたら旦那を仮釈にしたるで」と取引をもちかける。

 

 ところどころで挿入される主人公の格闘シーンは思ったより出来がいい。もちろん一流とは言い難いものであり、そのレベルは空手初段といったところだろうが、無理して型崩れのハイキックを打たずにミドル、ローに終始したり、至近距離では底拳を使ったり、己の体術不足を認めたうえで、使えるものを上手く組み合わせたような好印象を受けた。カメラワークがそれを補助しているのもいい。

 

 脇役として登場するチンピラも個性ブリブリである。彼は主人公からシャブ組の見張りを頼まれる。それに対して彼の返答は「わかりました!ブッ殺せばいいんですね!」「いや俺、若頭のためならブッ殺しますよ!」「いや遠慮しなくてもブッ殺しますよ」である。お前は猿か。見張りだっつってんだろ。どれだけブッ殺したいんだ。しかも彼は見張りを頼まれてるのに黄色のアホみたいに目立つジャージでイキったあげく小便をしに現場を離れる。憎めないバカである。

 

 調べが進むにつれてシャブ組の取引の仕組みが明らかになってゆく。シャブ組は警察内部で「麻薬取締の神様」とよばれる老警部補と結託し、末端の売人の情報を警察に流しつつ重要な取引は神様が目をつぶるという図式を成立させていたのだ。

 

 しかし状況は急変。神様がシャブ組の幹部を裏切って皆殺しにしたのである。その理由は「老後が怖いんや」である。つまり神様はシャブ組の幹部を皆殺しにした後、彼らが保管していたシャブを売りさばきつつ余生をウハウハするつもりだったのである。

 私の脳が腐っていなければの仮定であるが、ヤクザ裏切ってシャブ売って過ごす余生の方がよっぽど怖い老後になるのではないか。幹部を皆殺しにしたところで中堅幹部がそのポジションに収まるだけ、さらにシャブ組からの報復は確実だろう。シャブ売って稼いだ所得をどう隠すのかも見どころであろう。

 

 そして主人公vs神のバトルである。正直派手さはないが、クソオヤジのいやらしさがこぞとばかりに汗吹く戦いである。神様は上階からこっそり砂袋を落としたり、鉄パイプをブンブン振り回す真正面からの決戦を挑む。しかし結局上から落ちて殴られて負ける。

 

 本作は細かい要素にも気を配った丁寧な作品であると感じた。恋人関係でシャブ組に追われていたホステスが、その時は化粧をしていたのに主人公の部屋で泣きながらかくまわれている際にはそばかす丸出しのすっぴんをあらわにしている。朝起きた瞬間にナチュラルメイクが出来上がっているゴールデンタイムのドラマは是非本作を見習ってほしい。

 前任の潜入捜査官が拷問されて殺されるシーンはグロテスクそのもの。刃物であちこちを切り刻まれたあげく腹を真一文字に切り裂かれ、垂れ下がった腸をガスバーナーで焼かれるのである。

 神様の装備している銃も幹部警官の持つニューナンブM60短銃身型である。(バレル、シリンダーラッチ、グリップ、ランヤードリングで判別可能)

 また女優がエロ目的で脱がないというのも素晴らしい。乳の1つでも出して中盤の中だるみを防ぐかという下卑た行為が無いのは美しい。

 ただラストは「やっぱヤクザを仮釈とか無理だわ笑。でも君はまだまだ頑張ってね。」というさわやかな幕引きである。やはり日本警察の質は落ちているのだろうか。まあヤクザがどうなろうが知ったこっちゃないのでそんなの関係ねえ(熱湯風呂(熱湯とは言ってない)の中で)

 

 

総合評価・星4つ(ステキやん?)

★★★★☆

 

以上