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エンドゲーム 大統領最後の日

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あらすじ

「不倫は文化ではない」

 

 幼馴染は私にこう言った。エンド・オブ・ホワイトハウスが面白いと。ならば本作と店頭で出会えたことは神の御導きであろう。購入は義務であり自明である。もちろんエンド・オブ・ホワイトハウスは見ていない。

 

 主人公は黒人のシークレットサービスで大統領の最も身近で警護を担当していたが、大統領の暗殺を防ぐことができなかった。しかし彼は無能ではない。暗殺者が銃を出した瞬間、仲間に警戒を促しつつ身を投げ出して大統領を守る。しかし銃弾は彼の手の平を貫通して大統領に命中したのだ。

 

 その後彼はショックで酒を飲み深夜にボクサーパンツで湖に飛び込んだり、ボートの上で半裸でドザえもんの様に腹を焼いたりする。そこに女記者がやってきて「この事件には裏がある」と調査協力をもちかける。そして主人公は大統領のカタキを討つために再起する。

 

 しばらくは小規模な銃撃戦や捜査活動が続く。そして彼らはCIAの違法部隊が作ったペーパーカンパニーが怪しいと踏み、信頼できる同僚と突入する。ここのシーンはザ・ロックを連想させるいい出来だった。それは地下から潜入した特殊部隊が待ち伏せていた敵によって殲滅されるシーン。しかし本作では階上から伏兵していた敵に対して果敢に挑んでいく警察部隊の勇姿が描かれる。

 

 銃撃戦の末、リーダー格は車で逃亡。主人公ももちろん追跡するが、リーダー格は一般のバイクを銃撃したり子どもの乗ったスクールバスを盾にするなどクズのスロットルを全開にする。ならばと主人公も全開にする。そのスロットルの名はカミカゼ。彼は道無き道へ車を躍らせリーダー格の車の横っ腹に突っ込む警察比例の原則を披露する。

 

 しかしそれでも黒幕は知れない。怪しいと思える人間は何人か見つけられたが、彼らには大統領を殺すメリットが無いのである。するとここである事実を主人公が明らかにする。「大統領には愛人がいて、退任した後は奥さんと離婚して愛人と暮らす予定だったんだよ。大統領のイメージを守るのもシークレットサービスの仕事だから言わなかったんだけどね」。主人公よ、貴方は悪くない。悪いのはどう考えてもファッキンプレジデントだ。

 

 ここまで明らかになれば誰でも答えは見えるだろう。犯人は奥様である。結末は大統領の威厳を守るため主人公は真実を明かさず、女記者はそれを追い求め続ける。アクション映画として見ればすっきりするとは言い難いかもしれない。しかしこれを持って本作を減点することは差し控えたい。

 

 アクションシーンは期待値を超えてきたし、主人公の設定がシブい。心と体に傷を負った高度警備要員が真相解明のため奮闘、これで燃えない人は少数派だと愚考する。「暗殺の原因はクソ大統領の下半身です」という理由で彼の尊厳を汚したくない。

 

 ラストにおいて、協力していた主人公と女記者が真実に対して真逆のスタンスをきちんと見せる点も素晴らしいと思う。主人公は大統領=行政権に対して忠実である事、女記者は報道の自由をもって知る権利に資し民主主義を守る事、これを読み取ることは難しくはない。ならば、もし彼らがラストで「俺たちダチだから」とかいって事をうやむやに終わらせていたらどうなるか。権力とマスコミのなあなあ関係を暗示するそれは絶対に締まらないものになっていただろう。

 

 苦言を呈するとすれば、それはパッケージだろう。絶対これで損してる。真ん中にいる主人公、芸人のアントニーみたいじゃねえか。デザインは大事。下半身も大事。もし不倫をするなら事前に文書にして関係者に通知してからやりましょう。

 

 

総合評価・星4つ(ステキやん?)

★★★★☆

 

以上