ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ロスト・ワールド2013

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あらすじ

「恐竜」

 

 めちゃくちゃ頭のいい女博士がめちゃくちゃ悪いテロリストに誘拐されたから救出して来いという、とってつけたような設定に基づき主人公達の部隊が出撃する。隠密作戦だからHALOするぜ!義務教育で習った通り、HALOとは高高度降下低高度開傘を意味するが、その映像は真昼間のスカイダイビングである。

 

 そして隠密作戦もクソもない銃撃戦が展開される。演技は大根。それを誤魔化すかのように銃声がむやみにとどろく。可もなく不可も無い戦闘の後、テロリストのボスと博士を回収してヘリで飛び立つが、ロケットランチャーの攻撃を受けヘリは墜落する。時計塔の鐘を鳴らして安心していたバレンタインさんを彷彿とさせる光景である。

 

 墜落した先は前人未踏のジャングル。やがて襲い来るヴェロキラプトル。攻撃を受けて食い殺されたり銃で反撃して撃退したりする量産型の映像が流れていく。まあ、こんなもんだよなと流し見ていた私の心に愛が流れ込んできたのはその時である。

 

 そこにはブラキオサウルスがいた。トリケラトプスがいた。だからどうしたと切って捨てないでほしい。これが何を意味しているかよく考えてほしい。ワゴン映画の恐竜とくれば、とりあえず派手に人を襲ってごまかしとけばええんやとのファッキンクライストの湯気が立つシロモノ。ただの人を食う凶暴なトカゲ、下手をすればビニール人形である。だが本作ではわざわざ時間と予算を割いて草食恐竜を登場させ、恐竜の世界を表現しようと努力している。後述するが、これはきちんと評価せねばならないポイントだろう。

 

 そうこうしている内に部隊の前に変態が現れる。彼は反戦デモで暴力反対を主張しながら警官を殴るヒッピーの様なオッサンである。彼は「この世界はピュアなんや。お前らはカオスなんや。だから死ねや。」と狂った後、無事ティラノサウルスの胃袋に移住した。なお主人公達は普通に無線で救助を呼びヘリに乗って帰還した。

 

 ストーリー、設定面において本作から優れた点は全く見い出せない。不倶戴天のテロリストが何故か主人公と一緒にピストルもって恐竜と戦ってたり、天才女博士は太もも出してるだけで頭脳を全く生かしていなかったり、ティラノサウルスが対人ライフル数発で死んだり、ティラノよりヤバイ敵がいると言っておきながらそいつは最後まで出てこなかったりする。しかし私は本作をゴミと切り捨てる気持ちにはなれない。

 

 それは本作が恐竜を映画的経済動物とみなしていないからである。恐竜だ、ヤベェ、ズギューンバギューン、ウギャアアがやりたいだけならブラキオサウルストリケラトプスといった草食恐竜など出す必要が無いからである。CGを使う金食い虫を誰が好き好んで飼うのか。しかし本作は飼った。恐竜の世界を描くために。ワゴン映画なのに。賞賛に値する。そんなのジュラシックパークのしょっぺぇパクりじゃんと言う輩には裁きの鉄槌が下るだろう。

 

 ストーリーが下手でもええじゃないか、演技が下手でもええじゃないか、恐竜に愛があればええんや、ええじゃないかええじゃないか。寛容になろうや。本作は映画としては駄作の部類に入るだろうが、作り手の思いだけはくみ取ってあげたい。そう考えることが犯罪であると私は思わない。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上