サイコハウス
あらすじ
「結局は顔かよ」
順風満帆に仕事を軌道に乗せた弁護士の夫、子育てがひと段落して広告会社に復帰したい妻。2人は相談した結果、家政婦を雇って子どもの面倒をみてもらうことにする。そして面接に現れた女性は、明るく子どもにも好かれる良さそうな人だったので即採用される。
本筋には関わらない点ではあるが、家政婦と子どもが散歩している時の会話で「あそこの家はパパと秘書が家を出て行ったの」だの「あそこのママは若い男とキスしてたわ」とかいう話題がナチュラルに出て来るのが嫌だった。こんな浮気の集合住宅地に私は絶対に住みたくないし、本作主役の夫婦にしても何故若い女性家政婦を雇ったのか。私に家政婦が必要な状況が発生したら断固としてババアを雇う決意が固まった瞬間であった。
家政婦が働き始めてから少しずつ、視聴者は彼女の異常性に気がついてくる。子ども達の世話を必要以上にかってでて、自らが母であるかのように振る舞ったり、「奥様はそんなことしなくていいんですよ」的な発言で妻を外出させ、その隙に夫と話したり、あわよくばボディタッチを図ったりする。
ある日、夫は仕事で大きな和解案件を成立させる。家政婦はこれを祝うために「シャンパンパーティをやりましょうよ!」とノリノリで提案。喜々として準備を取り仕切るが、せっかくセッティングしたパーティーは突然の豪雨で台無しに。あげく酔っぱらった夫の同僚にセクハラされてしまう。
そして確変突入である。彼女は愉快な塹壕戦のお友達であるシャベルでセクハラ同僚を惨殺して死体を投棄。それを皮切りに、自分を怪しみだした老婆をTarget in sight。彼女が入浴中に電流を浴槽にブチ込んでエレクトリックパレードを発生させ夢の国送りにする。さらにはワイヤートラップで妻を階段から落として重傷を負わし、妻の親友の顔にビニール袋をかぶせて窒息状態にさせ弱ったところで首をヘシ折る。お前はスペツナズかと。どれだけ殺しのバリエーションを持っているんだと問いかけたい。
クライマックスは、想い人である夫も含めた家族4人を拘束して「この家は私の物よウヒョヒョヒョヒョ」とバグっていたら、拘束されているはずなのに何故かハサミを持っていた妻により腹部と背部を連続刺突されて殺される。あまりにも早すぎる、惜しまれぬ死であった。そして妻は「家政婦はクビよ」とクソつまらないアメリカンジョークをほざいてエンドロールである。
ところで、何故家政婦はこの家に執着を持っていたのか?それは彼女の幼少時代にさかのぼる。彼女の両親は共にクソであり、結局離婚することになった。その時たまたま法廷にいたのが若手弁護士であった頃の夫だったのだ。彼女は夫を見て「うわメッチャ好みのイケメンやねんけど」とストーキングの暖炉に薪をくべ、延々と機会を狙っていたのである。
あれだけ人を殺しておきながら理由付けが薄っぺらすぎて、正直全体的に見れば星2つが妥当な作品であると考えるが、1人光る脇役がいたので彼に敬意を表して星を1つ増やしたい。その彼とは、浴槽で殺された老婆の旦那である。彼は主人公夫婦の良き隣人として序盤に「スペシャルバーベキューをやるから是非きてくれよな!」とノリノリで挨拶しに来る。その時に老婆に「ただの焼肉だろ調子乗んなジジイ」と釘を刺されるが「肉を焼くために男は生まれてきたんだ」と深いんだか深くないんだかよくわからない名言を残すも、老婆にに「うるさい」「回れ右」と言われ見事にUnder controlされる。この様は本作の甘味料として実に爽やかであった。
総合評価・星3つ(500円の価値有)
★★★☆☆
以上