ワンコイン・ムービ-レビュー

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ターミネーターⅤ

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あらすじ

ターミネーターを名乗るな」

 

 舞台は近未来。オカルト好きのサークルが変な儀式で遊んでいたら、魔界の門が開き、悪魔がメンバーの1人である女性に取りつき他メンバーを殺害。それから1年後、散発的に魔界から悪魔がやってきて人を襲うことが恒常化していた。本作の主人公とヒロインはその悪魔を撃退する組織の戦闘員、通称「ガーディアン」である。ちなみにガーディアンは皆生身の人間である。悪魔は当初、低知能で単独行動しかとらない存在で撃破も容易であったが、ある日、急速な組織化により何らかの計画を進めていることが判明する。ガーディアン達はそれを食い止めるべく奔走し、悪魔サイドも魔力で動く不死の鎧を繰り出し迎撃する。なおパッケージでポーズをとっているのはこの鎧である。

 

 ここまで述べればもはや自明であろう。本作におけるターミネーター要素は永遠の0である。未来もロボットも全く関係無い、ただのB級オカルトバトル映画じゃねえかと。配給会社は何を思って邦題を付けたのか?映画の内容とパッケージの落差は詐欺と言うより錯誤に近いと思われる、ならば販売促進の悪意を込めた邦題では無いはず。邦題担当者が過剰業務で極度の疲労状態に陥り、正常な判断ができない状態に追い込まれたままパッケージデザインを発注してしまったんじゃないのか、過労死白書が出版されるジャップアイランドの現状からしても担当者の健康は大丈夫なんだろうか、などと変な心配をしてしまうレベルで本作のタイトルは異常である。

 

 拡大解釈によりなんとかターミネーター要素を見つけようと頑張りはした。悪魔たちがターミネーターレベルで強かったらそれはもうターミネーターじゃん(混乱)。と詭弁のレベルで肯定的意見を出そうと努力した。しかし本作に登場する悪魔たちはピストル1発でナチュラルに死ぬ。のみならず格闘戦においても人間にボコボコにされる。不死の鎧もタフネスこそあるものの、拳銃の連射でノックダウンしたりヒロインの蹴りで吹っ飛んだあげく最後は剣で首をチョンパリングされてしまう。なお悪魔たちの一部はピストル対策のために防弾チョッキを装着している。彼らはどんな気持ちでチョッキを買いに行ったのだろうか。「最近は悪魔業界も危なくなってきましてね~、これも時代ですわ(笑)」とか言っちゃうんだろうか。

 

 まあなんやかんやでヒロインの血を飲んだラスボスの女悪魔が第2形態に進化。その姿はプレデターを全裸にしてキモくした感じである。彼女はウオオオと吠えながら「魔界と人間界の壁を破壊してお前らを侵略してやる」と大言壮語をほざきおるが、戦闘力5程度の悪魔が出現したところで、軍が出動するまでも無く警察の放水車や機動隊の盾にボコボコにされて涙目で魔界に帰省する悪魔たちの姿しか思い描けない。なおラスボスは叫びたいことを叫んだあと、主人公に剣で切られて昇天した。ラスボス戦が1番あっけないというしまらないオチであった。

 

 本作のいいところは2つある。1つは比較的格闘シーンがしっかりしているところである。多人数を相手にした主人公の全周囲格闘に跳躍、ヒロインもナイフ主体でケンシロウのようなパワーバトルを挑んでいるところが勇ましい。もう1つは女優陣の体づくりである。格闘シーンはもちろん、時折挿入されるヌードシーンでも女優たちの体はしっかり自己管理されているのがわかる。腹筋はうっすらと割れ、肩甲骨から背筋のラインもくっきりしている。この手の低予算映画に出てくる女優は、美人設定の割には一般人レベルで腹の肉を蓄えているのが珍しく無い。そんな中で俳優としてしっかりと肉体管理を行っている彼女達に対しては敬意を払うべきであると感じた。

 

 繰り返しになるが、本作は断じてターミネーターではない。せめてデビルメイクライぐらいで止めておけよ…との思いがどうしても拭いきれない。人は何故間違いを犯してしまうのか。本作上映111分の中でその答えは見つからなかった。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上