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女子高生ロボット戦争

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あらすじ

「ロボットが出てくるのは65.43秒だけ(俺計測)」

 

 ある田舎の高校に2人の仲良し女の子がいました。1人は脳筋金髪スポーツマンで、男子のアメフトチームに助っ人参加してエースになるレベルのバケモノです。もう1人はガリ勉茶髪メガネで、その知識を生かして国防省と軍事契約まで結んじゃいます。というふざけた人物紹介から物語は幕を開ける。ある日、高校にイケメンが転校してくる。ガリ勉は彼に一目ぼれするが口下手でしゃべるきっかけがつかめない。脳筋は「私がきっかけをつくってあげる」と友情を露にした直後「私はキューピッドじゃないわ」と変節、イケメンとキスをしてガリ勉をブチ切れさせる。

 

 ガリ勉は校内新聞に「脳筋はファッキンレズビアン」と人権意識溢れる格調高き反論で初撃を加える。その後、脳筋の対戦相手であるアメフトチームのスポーツドリンクにドーピング剤を投与。投与を受けた彼らは「殺す!殺す!殺す!ヒャッハー!」と完全にバグって脳筋フルボッコにする。ご満悦のガリ勉はイケメンとバーでデートするが、怒り狂った脳筋がそこにあらわれ、酔っぱらいのキンタマに多段蹴りを喰らわせ半殺しにした後、イケメンをデートと言う名の強制連行へと導く。これに対してガリ勉は「脳筋のDNAに作用して悪臭をまき散らすナノマシン」を開発。デート中の脳筋に散布して逢瀬をブチ壊す。

 

 そうこうしているうちにイケメンの本性が明らかになった。彼は校内の多くの女子に唾をつけ、レイプまでするクソ野郎だったのだ。それを知った脳筋は金属バットを片手にイケメンを処刑しようと校内に乗り込むが、そこに立ちふさがるのは当然ガリ勉である。脳筋は「イケメンはヤリチンのゴミよ」と説得を試みるが、ガリ勉は「イケメンなんかどうでもええからお前をしばく」と喚き巨大ロボットで戦いを挑む。「軽量カーボンファイバーのボディに軍用装甲を装着したわ」と高らかに宣言するガリ勉であるが、そのロボは脳筋のフルスイングであっけなく全壊する。

 

 しかしここであきらめないのがガリ勉である。彼女は拳に装着した連装ミサイルとバズーカで追撃。格闘戦でも脳筋と互角に渡り合う。なぜガリ勉なのに格闘ができるのか。「本を読んだらマスターしたわ」としれっと語る様は努力という言葉を美しく冒涜している。そして続く格闘戦の途中でガリ勉の脳に電流が走り、彼女は正気を取り戻す。そして「私たちは親友よ!」と崩壊した校舎の中で笑いあってハッピーエンドである。なおイケメンは悪行がバレて刑務所行となり、犯罪者達にケツ穴を掘られ続けているという爽やかなオチもついてくる。

 

 ここまで書いてみて改めて思うのは、この映画は完全なパッケージ詐欺だということである。脳筋ガリ勉のバトル一連を見ていれば、ガリ勉の方が尋常でない狂い方をしているのは一目瞭然である。どこが恋・友情・ロボなのか。何がナノマシンだよ。何がミサイルだよ。軽量カーボンフレームに軍用装甲?そんなもんフレームが装甲の重みに耐えられずに自爆するんじゃねえの?あげくタイトルにもなってるそのロボットはあらすじの通り1分ちょっと出てきて死ぬ。突っ込み始めればキリが無い。

 

 しかし何故か本作は憎めない。全く不快感を感じない。CGのチープさに加えてクソみたいな色調補正、特にイケメンを照らす天使の後光の様な光の使い方はまさにレンブラントを凌駕している。これらによって編み出された凄まじい圧倒的なバカバカしさにはめったにお目にかかれない。私は無神論者だが今猛烈に神に感謝している。

 

 脇役もステキである。脳筋の父親は朝7時に娘の部屋に乱入しホイッスルを吹きながら「さっさとクソしてランニングだ!」と思春期女子の感情を尊重する親の鑑である。彼は娘のために紫色のゲロのような液体を創り出し「プロテインシェイクだ。一口で飲め」と命令し体調管理まで行ってくれる最高のビッグダディである。

 

 高校のスクールカウンセラーは勤務中に職場のPCで「発情中 エロい ロリ娘」とサーチエンジンに打ちこむ真面目な職業人である。彼は恋愛相談に訪れた2人に「若い恋愛には反対する」と大人の対応を見せる。その理由は「俺は大学時代同棲した彼女を孕ませて大学を中退した。嫁さんは子供を産んでブクブク太って俺はブクブク窒息死するんだ」という立て板に水を流すような見事な理論である。子供を産んだ女性が太ることはよくある光景なので同情できないこともないが、そういうお前はどうなんだと言いたい。お前はハゲでロリコンの職務怠慢者じゃねえかと、お前に正論を説く資格は無いと叫びたい。

 

 タイトル詐欺、クレイジーガリ勉、クソの様な映像、ゴミの様な脇役。これらがビッグバンのごとく炸裂した結果誕生したのがこのアホンダラ映画である。本作は金曜の夜のような疲れた時に、何も考えずに楽しめるクソ映画界の生んだレアメタルである。

 

 

総合評価・星5つ(Ce n’est pas Dieu possible)

★★★★★

 

以上