ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

クローン・ソルジャー

f:id:public-technocut:20210705180342j:plain

あらすじ

「量産型デブ」

 

 森の中をパトロールしていたレンジャー隊員(デブ・雄)が、米軍の遺棄兵器を誤って起動してしまった。すると凶暴化したデブのクローンが大量発生して銃撃戦になるというハートフルラブロマンスが本作である。

 

 本作を彩るのはリコグナイズ機能不全問題である。主人公のデブとそのクローン、見分けるのに一苦労である。全員がほぼ同じ色の服を着こみ、ほぼ同じ銃で武装している。差異を設けるために、クローンには白塗りらしき化粧と尖った犬歯が装着されている。が、本作の舞台は夜である。夜になると暗くなるという事実を製作陣は知らなかったらしく、それは白塗りをほどこしたメイク担当の努力を水の泡にすることに成功している。

 

 したがって視聴者は本作82分間において、似たようなデブが銃を撃っている映像を見ながら犬歯を探すという鑑識活動を余儀なくされる。さらにド下手くそなエスタブリッシュショットがこの混乱にトルクアップの作用を果たしてくれる。ウォーリーを探せを買ったつもりはないのにウォーリーを探すことを強いられたときの気持ちを考えていただければ私の心象風景をご理解いただけるのではないだろうか。

 

 難病で死んだ嫁の回想シーンをブチ込んでくる割には、それがストーリーに何も影響を与えていないという点も注目に値する。偏見かもしれないが、フィクションとはいえ、それっぽい雰囲気でごまかすために大した意味もなくノリで嫁を殺す奴がマトモな人間だとは思えない。

 

 嫁の件にも係るところだが、キャラの作り込みが浅い。デブについて同僚は「アイツは真のレンジャーだ」とか言っちゃうわけだが、言うだけ言って行動が伴わない。口だけ野郎のビッグマウスである。

 

 もちろん本作においてはクローンが何かのメタファーになっているわけではない。単純に「デブが大量のデブと戦うぜ」という陰気なアクションである。そう、陰気。銃声がショボすぎるのである。同じシーンを使いまわしている場面が見受けられた点も指摘しておきたい。これが反復技法なのか予算の都合なのかは読者諸氏の目で確かめてもらいたい。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上