ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

コップ・カー

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あらすじ

「サスペンスという割には緊張より笑いが勝る」

 

 悪徳警官が悪ガキどもにパトカーをパクられて憤死するという愉快な本作。本作には悪党しか登場しない。素行不良の家出少年にチンピラ、腐敗警官といった具合に社会に対して唾を吐く優等生のみがモニタを彩ることとなる。

 

 悪党どもを通じて製作者が視聴者に届けようとしたものは「弱さ」ではないかと愚考する。パトカーを奪ったガキどもの無軌道な暴走も束の間、彼らは銃や大人の力の前に弱さを露呈し家に帰りたいと涙目になる。大人も大人である。腐敗警官は違法活動の証拠が残るパトカーをパクられて俺はもう終わりだ感を発動させ便所でドラッグパーティーを開催する。腐敗警官にシメられたチンピラは半裸にナイトガウンの無様な姿を虚飾するかのようにM4とショットガンを振り回す。

 

 悪党どもの先行き不透明な旅情とその愚かな計画性からくる反動をパトカーという運動装置に託して88分間駆け抜けたのが本作であるといえよう。前述したとおり本作には悪党しか出てこない。すなわち正義の味方と悪党の相対化による価値判断は本作では行われない。従って本作の正しい鑑賞法は「わるいやつって無計画だなあ」「わるいことをすれば死ぬんだなあ」と楕円に開けた口でつぶやくことである。

 

 もう1つの見方は本作をコメディとして見ることだ。再三繰り返すが、本作には同情に値するようなキャラクターは出てこない。ならばこいつらが死のうが爆発しようがノープロブレムではないか。モニタに映る登場人物に向かって「はよ死ね」とつぶやく年末年始を過ごしたいという方には本作はお勧めである。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上