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スクリーム オブ バンシー -殺戮の妖精-

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あらすじ

「叫んだら即死(即死するとは言っていない)」

 

 12世紀のアイルランドで王立騎士団により封印されたバンシーなる女妖精がいた。彼女は相手をおどろかせ、悲鳴をあげさせてから処刑するという迂遠な過程を好む自立式びっくり箱である。

 

 ならば悲鳴を上げないように行動しよう!そして発生する緊張が物語の主力を握る!のかと思いきや、本作のロジックはそれを許さない。脇役級の登場人物が悲鳴を上げると即座に処刑されるのに、主役級の登場人物は悲鳴を上げても殺されない。これはある種の格差社会ではあるまいか。広がりつつある貧富の差をしかと認識せよというメッセージを本作から感じ取ろうとする試みは実に牽強付会といえるだろう。

 

 恐怖演出について、それは例えるならば場末のお化け屋敷のようなものである。ミイラみてえな女妖怪が不意打ちで「ワッ!」とおどかしてくる。しゃっくりを止めたいならば有用かもしれないが、間違っても映像芸術や運動の美といったものは期待してはならない。

 

 グロ描写についても特段優れているところはない。女学生が自分の眼球をえぐってあばばばばシーンだけが「痛そうだな」と思ったが、それぐらいである。

 

 なぜバンシーが現代によみがえったのか?それはあるジジイが大学に地図を送りつけたからである。その地図に従い研究者たちが封印された箱を開けてバンシー復活というわけだ。このジジイの大物ぶりはさながら逆切れした男児の様で実に理性的である。彼は主張する。「ワシが大学にいた時は誰もワシの説を信じなかった。だがこれでワシの説が正しいと分かっただろう!」そして彼は学問の自由を守護するために宣言する。「ただしいのはワシだ! あ や ま れ !」

 

 小学校の終わりの会を彷彿とさせる黒幕にどれだけの魅力があるかは、読者諸氏の良心にて推測願いたい。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上