ワンコイン・ムービ-レビュー

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ミッドナイト・アカデミー 秘密の扉

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あらすじ

「がんばれ男爵!ガキどもを洗脳しろ!」

 

 深夜に学校へ忍び込みスプレーで落書きをしようとしていた模範的児童3匹が、学校に巣食う極悪男爵の幽霊の襲撃を受ける。ヒロインはさらわれ、残された2匹の雄ガキが彼女を取り返すべく右往左往する様を愛でる本作はまあまあボチボチの、ゴミ寄りの普通的な作品である。

 

 極悪男爵の幽霊。彼は頭の悪いクソガキを拉致しては教室に監禁して授業をしていた。彼の出す問題に答えられない生徒はおもっくそ罵倒されるサービス付きである。ところで、バカな子どもを選りすぐって収集している割には彼のおつむの出来はさほどよろしくはない。それは彼の出す問題を見れば一目瞭然である。

 

男爵「奴隷制度を廃止したのは誰だ?」

生徒「イザベル女王です」

男爵「違う!正解はイザベル・クリスチーナ・レオポルジーナ・アウグスタ・ミカエ

   ラ・ガブリエラ・ハファエラ・ゴンザーガ・デ・ブラガンサ・イ・ブルボン

   だ!」

 

 高校教師が世界史のテストでこんな授業をおっぱじめた日には生徒はセクトを結成し火炎瓶が校舎を焼き尽くすだろう、と考えるのは無粋だろう。とにもかくにもこの男爵はなかなか魅力的なクソ野郎として機能している。

 

 これに対抗する主人公の雄ガキはおじいちゃんの形見の傘でフェンシングを挑む勇者の中の勇者である。「おじいちゃん」「形見」「決戦」、良い要素を抑えているじゃありませんか。その具現化が微妙とはいえガキならこんなもんでしょうよ。

 

 看過できないのはヒロインである。彼女は男爵に拉致られた後「助けて」とメッセージを送る。しかしいざ主人公たちが助けに来ると「なんで助けに来たの」とふてくされる。この変節の理由を「女心よ」の一言で説明する彼女に理はあるのだろうか。こんなやつに女の看板を使われてはオランプ・ド・グージュも浮かばれまいと思うのは私が男という汚らわしい性の持ち主だからだろうか。

 

 ロケーションもアナルファックである。魔法?の影響だろうか。主人公たちはどこか不思議な世界を旅する。夜の街であったり、飛行機の中であったり、チェコであったり。しかし何というかそれらの光景は無機質である。見ていても何も感じない建物、空間、それらがまとう色。白が押し出されすぎているような感覚。それもファンタジックな、バウンスライトのような白ではなく、棺桶に収まった死体に施された死に化粧のような白。こんな街並みをみるぐらいなら適当に鶴瓶が歩いているテレビを見るほうがマシである。

 

 主人公の相棒としてコメディを担当する雄ガキは「腹が痛い、ウンコしたい」としゃべる九官鳥として立派に生きていた。成長して本作を見返したこの俳優が手榴弾を抱いて自決しないことを祈るばかりである。

 

 ガキが出てくる映画はあまり好きではない。それはなぜだろう。おそらくは私自身がクソガキだったからではないだろうか。それはある種の自己嫌悪である。だからといってガキの映画から敵前逃亡する気はないので、私はこれからもぶん殴りたくなるような顔をしたガキがパッケージに映った映画を購入したいと思います(都合よくそんなものが見つかればの話)。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上