ワンコイン・ムービ-レビュー

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サーベルタイガー

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あらすじ
「クローン技術でよみがえったサーベルタイガーが山中に逃走して人々を襲う。」

 

 ストーリーの大筋は普通のモンスターパニックものであり、大きく破たんした出来ではないのだが、登場人物たちのアクの強さが際立っており、あまり恐怖感を感じることはできなかった。

 

 まず、サーベルタイガーをよみがえらせた遺伝学者のクソババアは「サーベルタイガーのクローンに成長ホルモンをブチ込み生育させ、人間の臓器を製造する」ことを目指して本研究を行う。彼女は「私はノーベル賞をもらうのよ」と夢を語るが、サーベルタイガーのクローンを造った時点ですでにノーベル賞ものであると考える知能は持っていなかったようである。大体サーベルタイガーをドーピングして臓器ビジネスを起業するという発想は倫理学、生物学、経営学といった複数の学問を冒涜するにも程があると言わざるを得ない。あげくにこのクソババアは、研究以外はどうでもいいというサイコパスであり、サーベルタイガーによって発生した犠牲者を「どうでもいい」「科学の進歩のためには必要な犠牲」として容赦なく切り捨てる。あげく「サーベルタイガーは研究対象なんだから殺しちゃだめよ」とわめきちらし通信機を投棄して警察の介入を妨害し、ハンターの銃から銃弾を抜き取る。そして彼女はサーベルタイガーに向かって「ハンターから逃げるのよ!」と叫ぶが畜生に人間の言語がわかるはずもなく、彼女は自らの生み出したサーベルタイガーによってズタズタにされる。

 

 クソババアに研究資金を投じた資産家もなかなかの傑物である。彼は陰毛のように縮れた脂ぎる髪の毛を搭載したデブであり、臓器ビジネスにより億万長者になって大統領になるんだと小学生レベルの人生設計をドヤ顔で語ってくれる。一見無能臭あふれる彼であるが、ハンターの補助として50kgの荷物を背負って山道を踏破するなど身体スペックは無駄に高い。彼の最後はその能力に見合った勇敢なものであった。彼は仲間が襲われる中、1人銃を奪って逃走し、自分で仕掛けたトラップに引っかかって身動きできなくなったところをサーベルタイガーに捕食された。

 

 他にも山岳ガイドの初心者講習のために山に入り、サーベルタイガーと接触した一般人達も魅力的である。特にメガネをかけたオタクは輝きを放っている。彼のモヤシのように逞しい足腰はみんなの足を引っ張る。仲間に「なんでこの講習に参加したのか」と聞かれると「ママに言われたから」と即座に返すその自立精神の高さからは学ぶべきものがあるだろう。彼は深夜にウンコをしに行くため1人になったところをサーベルタイガーに襲われてバラバラにされる。

 

 個性あふれる登場人物たちを見るうちに、人間力とはいったい何をもって定義すべきか、本作はそのような問いを投げかけてくれたような気がした。

 


総合評価・星3つ(500円の価値有)
★★★☆☆

 

以上