ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

マシーンヘッド

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あらすじ

「インパルス束を磁石発電機に流し電流密度を高める。そして燃焼酸化を促進しエンジンに2進信号を電流として理解させる。」

 

 舞台の一つとなる高校が映し出される。その中にたむろする生徒たちはどう見ても30~40台のオヤジ達にしか見えない。学ランを着たAV男優を見た時の感情、開始早々からそれを抱いてしまった事に不穏さを覚えながら視聴を続ける。

 

 やがて登場するのはケミカルウォッシュのジーンズを身にまとい天パとアゴヒゲを搭載したキモオタである。彼は頭が良いという設定らしいが教師からは無視されジョックスにいじめられる悲惨な男である。あげく家では近所の迷惑を考えず深夜に芝刈り機のエンジンをいじくりまわして親父に殴られ、隠していたダッチワイフまで発見される。とことん幸薄い男である。

 

 キモオタは自分をバカにしてくる奴らを見返してやろうとの一心で大発明を計画する。彼は家が葬儀業者を営んでいることを幸いとして死体を盗み、頭蓋を切開して電極を脳みそにブッ刺して芝刈り機のエンジンと直結する。エンジンを起動するとあら不思議、死体がこの世に再び生を授かるのだ。なお復活したといってもそれは完全なものではない。エンジンの振動でガタガタ震えながら「アァァァ…」と声を漏らし歩く、言ってしまえばゾンビである。

 

 キモオタはフヒフヒ笑いながら想いを寄せる女友達にこの研究成果を発表しようとする。なお彼女を誘う際に「霊柩車で迎えに行くよ」と提案するシーンは、彼が女性の気持ちを読み取る能力に長けていることを証明する本作屈指の名シーンである。復活死体を見た女友達は当然の如くドン引き、泣き叫びながら逃げ出そうとするもキモオタにつかまってしまう。彼は彼女の胸倉をつかみ口をふさぎながら「人間の可能性が広がるんだ!」とわめきだす。もちろんどう広がるのかという説明はなされない。しばらくすると復活死体が暴走、女友達を絞め殺す。キモオタは「そんなつもりじゃなかったんだ…」と初公判で被疑者がそろって口にするであろう真実の告白をつぶやき、彼女の死体を火葬する。

 

 そして彼は反省しない。自分をいじめていたジョックス達にケンカを売り、暴走死体をけしかけて殺害、火葬する。決め台詞はもちろん「そんなつもりじゃなかったんだ…」である。じゃあどんなつもりだったんだと彼の胸倉をつかみたくなる。彼の父親は復活死体を見て心臓発作を起こし死亡。もちろん火葬される。

 

 キモオタは理系高校生の発表会にいきなり登壇、「永遠の命が実現したんだ!」とわめきちらし聴衆をドン引きさせる。彼の辞書に反省やフィードバックという言葉は無い。復活死体はまたも大暴れ。会場はパニックに陥り、復活死体は街へ脱走する。彼は街で市民の腕をもいだりガソリンを飲んだりビールを飲んだりする。徐々に理性を取り戻した彼は鏡で自分の姿を見てしまう。頭の側面に装着されたエンジン、その信じがたい光景に彼は「なんじゃこりゃぁぁぁ!」と叫び鏡をたたき割る。

 

 やがて通報を受けた警察官に取り囲まれる復活死体。動くなと警告を受けるが、時と場所を同じくしてキモオタが車で事故って車内から出られないという微笑ましいアクシデントが発生する。復活死体はキモオタを救出することに成功、そしてエンジンを取り外してもらった復活死体はさようならとキモオタに言い残し2度目の死を迎える。キモオタのセリフは当然「そんなつもりじゃなかったんだ…」である。

 

 本作をどう解釈すればいいのだろうか。パニックホラーものなのかマッドサイエンティストものなのか。あるいはエンジンや死体が何かの暗喩になっているのかもしれない…。私が学も教養もない頭を回転させていると、展開はラスト30秒で急変する。それは夢オチ。キモオタが「ひどい夢を見た…」と言うと、エンジンを頭に付けたオッサンが「いつものことだろ」と雑誌を読みながら返答、スタッフロールへと突入する。

 

 本作は何がしたかったのだろうか…。この問いかけはバカな考えなのかもしれない。したいことなんて無かったんじゃないだろうか。ただノリで撮ったんじゃないか。相手の意図を察することを止め、ただ目に映った光景を思い起こした結果、たどりついたのはこの感想である。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上