ワンコイン・ムービ-レビュー

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アドベンチャー・オブ・ジ・アース

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あらすじ

「16世紀装備のスペイン軍がティラノサウルスとバトル!」

 

 世界史の教科書でおなじみの博愛主義者、我らが人道の守護者たるコルテスがメキシコに上陸し、原住民と交流を深めようとする場面から物語は始まる。コルテス達は「土人どもは銃を持ってないからボコボコに叩きのめして金品を強奪しよう」と提案。その人権宣言は地の利を生かした原住民側のアンブッシュによりあっけなく崩れ去った。

 

 「ジャングルに住む2頭のティラノサウルスを倒せば解放してやる」、酋長の寛大な提案によりコルテス隊はティラノサウルスと戦う。武装は剣に槍にクロスボウマスケット銃に加え小型の青銅砲を決戦兵器とした布陣である。そして展開される戦闘シーン。それは良く言えば火力の一点集中、悪く言えばオッサンが集まって「ファイアー」と叫んでいるだけである。なんのかんのでティラノの1頭は落とし穴に落ちて死亡、もちろん青銅砲はただのゴミである。

 

 そしてコルテス隊は2組に分裂する。かたやコルテスをリーダーとして金品を村から盗んで逃走分隊、かたや中尉を中心に酋長と仲良くする分隊である。もちろん前者はコルテスを除きティラノサウルスの胃袋へ旅立った。では後者はどうか。仲良くしていた酋長が殺されてしまうのである。悪役の呪術師がふんどし一丁で逆ギレをかまし、酋長はそれを受けてたつ。酋長は太鼓の達人みたいなバチを持ってどんくさく奮戦するも、呪術師に槍で一突きされて倒れこむ。もう1度遊べるドン!といきたいところだが酋長はそのままノーコンティニューで安らかに憤死した。

 

 ラストは中尉とその恋人の美女が呪術師の心臓をえぐりだして囮にしてティラノサウルスをおびき出し、爆薬を使って撃退してフィナーレである。心臓を捧げよ!こんなところで変にアステカ要素をぶち込まなくてもと思ったことはいうまでもない。

 

 本作は対恐竜バトル映画としてそれなりに優れた点を見出せる。それはロケーションだ。この手の映画が避けて通ることができないのが「重火器装備の現代軍ならティラノなんぞ秒殺問題」である。想像してほしい。5.56mmや7.62mmならまだしも12.7mm以上の火器を備えてなおパワーが足りないでおじゃるなどと言えるだろうか。私がもし自衛官ならよろこんでカールグスタフを担いでいきたい。よって必要となるのはいかに自然に人間サイドを弱体化させるかという点であるが、この点本作は大航海時代の遠征小隊が前人未到の大陸でティラノに遭遇と、とくにバグった点は見いだせない。トレビアンとはいかずともまあまあビアンといったところであろう。

 

 この人類弱体化政策に関して秀でていたのははやり『ジュラシック・パーク』であろう。科学万能主義からくるセキュリティへの過信、ハモンドの経営方針による銃火器装備の抑制、わずかにある銃火器をまともに使用できるのはマルドゥーンだけ、想像だに恐ろしい。

 

 これに対してゲイのアナルの様にガバガバな設定で観客をコケにしてくれたのが『ジュラシック・ワールド』である。過去の事故をふまえてなお恐竜を飼育する決意をした割には、警備員の装備がノーマルのアサルトライフル、人によってはサブ・マシンガンである。ヴェロキラプトルどころか防弾ベストきた人間にすら苦戦しそうなラインナップ。暗闇のジャングルの中、敵のホームに殴り込みをかけるバンザイ・チャージ・シンキング。極めつけはCEOである。本ブログを見ている中で勘の良い方は気づいたかもしれない。そうマスラニである。もういいかげん許してやれよマスラニは!という声もあるかもしれないが、私は追及の引き金を引き続ける。ヘリコプターという高機動戦力を仮免で振り回すだけでは飽き足らず、高度の優位性を捨てM134の戦力価値を著しく貶めたあげく勝手に死亡した件は許すことができない。遠くない将来、公益財団法人マスラニを裁く会が設立された暁にはそのCEOに私を推薦していただきたいと市民諸兄に要請して筆をおく。今回映画のレビューになってるのかこれ。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上