ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ターミネーター・ライジング

f:id:public-technocut:20210803231415j:plain

あらすじ

「鹵獲兵器に頼るな!」

 

 今から半世紀後の近未来。アメリカは、我らが建国の父たるD・トランプが望んだかのように、念願の分断が果たされ内戦状態になっていた。

 

 政府軍は戦局打開のため新型アンドロイド「ジェネシス」を投入する。しかしあろうことかレジスタンスは「ジェネシス」を鹵獲して反撃までしてしまう。これにブチ切れた政府軍は十数年の時をかけ新型アンドロイド「リア」を投入する。しかしあろうことかレジスタンスは「リア」を鹵獲して反撃までしてしまう。

 

 このバカバカしい怠惰な鹵獲のダブルタップを見ながら私の脳内の寛容派は擁護の言い訳を探していた。「これは実装した新式装備を片っ端からタリバンにパクられていく新生アフガン軍のメタファーの可能性が・・・」といった具合にである。自明ではあるが、これらの考察は害悪以外の何物でもないため無視を選択していただきたい。

 

 鹵獲された「リア」はレジスタンスのプログラマーにより感情をプログラムされる。ファミレスの注文端末みてえな安っぽいタブレットをポチポチすると「リア」に感情と思考が芽生え、そして彼女は言の葉を継ぐ。「レジスタンスって、お前らバカだろ勝てるわけねーじゃん、よっしゃ!ワシにまかしとけ!」。そして「リア」は敵地に自爆攻撃を敢行、戦いはこれからも続くでハッピーエンドである。

 

 ちなみに「リア」は「ジェネシス」に嫁を殺された科学者によって設計されており、その容姿は嫁にクリソツである。嫁にもう一度会いたいからアンドロイド化するという願望は理解できるとしても、アンドロイド化の対象として戦闘マシンを選択する精神構造は理解のしようがない。考えてもらいたい。最愛の嫁のパチモンが殺人コードをプログラムされることを望む夫がどこの世界線に存在するというのだろうか。話の流れをブッた切ってエクスキューズとして散発的に挿入される夫婦のイチャラブシーンが視聴者の神経を煮沸する点も評価点に挙げておきたい。

 

 キャラの扱いが非常に雑である点も神がかっている。レジスタンスの男女は銃を持って立っているだけの存在で、彼らを見分けるポイントは髪の長さやちんちんの有無ぐらいである。「ジェネシス」に至ってはしれっと行方不明になっていた。鹵獲した敵の新型兵器、これを有用に使えないというのは愚かの極みではないか?

 

 いや、ここで少し待っていただきたい。小学校卒業程度の軍事学(陸戦兵器史)の知識があれば自明の通り、敵の戦力に期待する鹵獲という形態は、文字通り敵の戦力に依存する。ならばこそ、我々は「ジェネシス」が敵の上位互換に倒されたことを、言われなくても察しなければならない。何を言っているかわからないという方は、80年前に旧日本軍がウキウキで鹵獲したM3スチュアート軽戦車がその後米軍のM4シャーマン中戦車にドツき回されたことを思い出してほしい。

 

 国産装備が高性能ならそれに越したことはないよねッ♪ いやマジで。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上