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エイリアン・バトルロワイアル

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あらすじ

「知性無き人間共の内ゲバ

 

 本作の舞台となる町を取り仕切る老町長は、町の中心部に自分の名を冠したストリップクラブを建て、夜はチンピラ仲間と飲んだくれながら銃を乱射するという品行方正な人物である。この町長の嫁は若いブロンド。彼女はその母と組んで老町長の遺産をゲットすることをもくろみつつ、間男とファックを楽しんでいた。しかしついにファックの事実を老町長に知られてしまい夫婦関係は崩壊へ向かうかと思いきや、嫁の母がやってきて、バレたら仕方ないじゃん的なノリでナタを振り下ろし老町長の頭蓋を砕き割る。

 

 これで遺産をゲットだぜ!と母子は自宅にいったん戻るが、それと時を同じくしてUFOが老町長殺害現場に墜落。それを目撃した老町長のチンピラ友達が酔っぱらいながら墜落地点へ行き、エイリアンと遭遇、銃で攻撃の暴挙に及んでしまう。エイリアンは自衛のためチンピラを処分し、近隣一帯に転がるスクラップ部品からUFOを修理しようとする。

 

 困ったのは母子である。老町長の遺体が無いと相続ができない。でも遺体はエイリアンのすぐそば。彼女たちはまず警察に助けを求める。「私の夫がエイリアンにぶっ殺されて死体が回収できないからすぐ来て!」田舎ヤンキーが交番にかけるイタズラ電話以下の話しぶりには真言めいた神秘を感じざるを得ない。当然のごとく警察は来ない。ならばどうするか。答えはCMの後、ではなくCMそのものであった。

 

 母子と間男は「夫がエイリアンに殺されたの!死体を持って帰ってきたら賞金10万ドルよ!」とTVCMを打つ。こんなバカなCM流す方も流す方だが、これを見たところで誰が来るというのか。

 

 普通に来ました。もろもろの銃器を装備したハンターの体が低スペックの脳に制御されつつ受付ゲートへと歩み、エイリアンがトラップを仕掛けて潜んでいると思われる場所へ突撃していく。彼らは実に勇敢な戦いぶりで人類の誇りをエイリアンに刻み付ける。ヒル生物兵器にケツの穴から侵入されて爆死するオッサン、ボーカル付カントリーミュージックをバックに立小便をしながら凍死するヤリチン。空手クラブのコーチは未成年を強制連行して参加したあげくワイヤートラップにより胴体を輪切りにされて全滅する。集まったハンターを目当てに婚活を始めた女はテントの中で騎乗位である。彼らの知能を教育できる機会はもう失われてしまった。

 

 やがてCMを見た警察官が母子のところにやってくる。普通ならブチ切れてハンティングは中止。母子は最悪刑事罰であろう。しかしこの警察官は「俺も参加するぜ」とエントリーして即死する。時に警官の不祥事報道を目にすることがあっても、日本に住んでいて良かった。安全大国ジャパン。それを誇りに思えるシーンである。

 

 書くのが遅くなって申し訳ないが、エイリアンサイドは「危害を加えれば殺す」とハンター達に警告している。つまり加害を加えなければいいだけの話なのである。おそらく私を含めた多くの市民から賛同を得られると確信するが、エイリアンと意思疎通できた時点でUFOの修理を一緒に手伝って、エイリアンとの人脈を作っておくことが打てる手の中で最善のものではないだろうか。日本には人脈モンスターと呼ばれる蝶も生息していることであるし、日米安保条約により彼の招集を検討することもやぶさかではないと考える。

 

 しかしながら戦う以外の選択肢はハンター達の脳にはインプットされていなかった。なんだかんだでハンター達は同士討ちまで始める始末でグッダグダ。UFOはなんかうまいこと治ったみたいでエイリアンは無事帰省の途についた。ハンター達については、1人生き残ったララ・クラフトもどきの女ハンターが老町長の死体をゲットして終了である。なお懸賞金を設定した母子は遺産の取り分で内ゲバを起こし、どちらも昇天していた。

 

 本作に登場するエイリアンや、エイリアンの使用するドローン兵器といった小道具の出来は良く、ハンター達の銃器も多種多様なものが揃えられている。本作は真面目に頑張ればまともなSF映画にもなりえたはずである。しかしながら制作陣はあえてアホにつくるという道を選び、それはなかなか成功している。しかし私には、制作陣の「ほらほら俺達ってアホだろ(笑)」感が鼻につき、満足のいく視聴は残念ながらできなかった。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上