FASHION STORY ~Model~
あらすじ
「意識高い系PV」
開始早々に拭いきれない違和感が漂う。モデル役のインタビューが流れたかと思えば、よくわからん軽いドラマがちょろっと流される。開始10分もたたずに、その違和感は確信に変わった。刹那、私の脳内で清太が咆哮する。「節子、これ映画やない!ザ・世界仰天ニュースのVTRや!」。私は全ての希望をシャットダウンした。
クソどうでもいいモデルのインタビューがモニターを泳いでいく。「担当のカメラマンさんの腕はサイコーです♪」「先輩はみんな綺麗で尊敬できます★」「皆でモデルとしての意識を日々高め合っています」といったお世辞が乱舞するシーンは見ていて爽快である。なぜ娯楽作品である映画でまで、会社内のゴマすりを観なけりゃならんのか。
ストーリーも素晴らしい。飲みすぎて倒れたモデルが路上で男にお持ち帰りされかけたと思ったらそいつはメンズモデルで後日撮影現場で再会するとか、カメラマンとトップモデルが付き合ってるとか、主役の女が飲食店でバイトしてるとか、断片的にぶち込まれるどうでもいい設定はコツコツと神経を切り刻んでゆく。
他にもゲイの美容師がアシスタントをいびったり、体重が増えたモデルがクビになったり、控室でモデルたちがアホみたいに笑いながらミカンの皮をむいたりする。あげく音楽付きで意味のない雑踏のシーンが尺稼ぎのために流される。和やかな拷問時間が経過してゆく。モデルの1人は言う。「私達の仕事は雑誌を読んでくれた人をハッピーにすることです♪」。残念ながら私はハッピーの抽選からは外れたようだ。
ラストはカメラマンが「ミラノに行くんや」と言い出しトップモデルは大泣き、撮影がめちゃくちゃになりかけるも主役の女が「最後まで仕事しろや」と檄を飛ばしトップモデルは復活、2人で仲良く撮影に臨みましたとさ。めでたしめでたし。
人民に平等に与えられた財産である時間を本作の視聴にあてることができた喜びを、私は全身で感じている。ジェレミー・クラークソンがプリウスに抱いた感情、それと同質のものを敬意として本作に贈りたい。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上