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ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

SAMURAI

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あらすじ

「戦国時代から生き続ける史上最強にして不死身の侍“コデニ”。世界征服を目前にしたコデニは凄まじい死闘の末、藤原警部によって射殺される。しかし時すでに遅し!コデニの魂はその肉体から離脱し、フランス留学中の藤原の娘・アケミの胎内へと入りこんでいた…。果たして藤原はコデニの転生を阻止し、世界を救うことができるのか!?日本、フランスを舞台に壮絶なバトルが今、始まる!」

 

 

 いつもあらすじは私が大雑把に簡略化したものを記載しているが、今回はパッケージのあらすじをそのまま引用した。それだけの恐ろしい何らかの力をこの文章から感じ取ったからである。上述の文章を読めば、フランスは日本文化に理解を持ってくれているなどという発言が幻想であることが明るみになるだろう。

 

 映画はしょっぱなから鎧を着こんだしょぼくれたジジイが女を斬り殺そうとする所から始まる。しかし護衛らしき武士の集団がジジイを取り囲む。グッバイジジイ。そう思いつつ鼻くそをほじって視聴していた私の意識は次の瞬間に頬を張り倒されたように衝撃を受けた。殺陣が見事なのである。老黄忠は武士達の刀を受け止め、槍の直突をかわし、1人また1人と敵の戦力を漸減させていく。しかしながら多勢に無勢、武士団は老黄忠に重傷を負わせ、その後女の腹からコデニが誕生してしまう。

 

 その後数百年の間、コデニは裏社会のボスとして君臨する。しかしその肉体は限界に近付いていた。彼は突如、警察の任意聴取に応じる。訝しむ藤原の目の前で彼は大胆にも刑事の拳銃を瞬時に奪い取り跳躍、空中機動による銃撃で3人の刑事を瞬く間に撃ち倒す。藤原の応戦によりコデニは倒れるも「俺は転生してやるぜグヘヘ」と笑いながら消滅する。その夜藤原の夢の中に先祖が現れて、コデニの転生先は藤原の娘のアケミであり、転生前に娘を殺せと伝える。

 

 一方フランスではアケミとフランス人のイケメン白人、そして白人の親友のアホが楽しくスポーツをしていた。そこにアケミを確保するためにコデニの部下が乗り込んできて、イケメン行きつけのジムの中で集団戦闘が始まる。登場するモブキャラ全員が流れるような体術を駆使するその戦闘シーンはスピーディかつ迫力がある見事なものでありキャストの努力が伝わってくる。敢闘空しくジムのメンバーは全滅。イケメンはアケミと協力して1人ではあるが敵を倒し脱出。イケメンのアパートに身をひそめる。なおアホはこっそり皆を見捨てて逃走していた。

 

 やがてフランスに到着した藤原はダブルトンファーで空港の便所を全壊させた後、娘と対面。コデニを倒し正義を守るため娘に刃を向ける。イケメンが止めに入るが簡単に制圧されてしまう。危うしアケミ。その瞬間にアホがショットガンをもって突入し藤原を威嚇。アケミを救うことに成功する。

 

 一難去ってまた一難。再びコデニの部下たちが襲撃をかけてくる。アケミ達はアパートからの脱出を試み、藤原は迎撃に出る。藤原の刀さばきによりコデニの部下達は壊滅状態に陥る。その後残ったコデニ隊の幹部と藤原の決闘が始まるがこれまた素晴らしい。特に藤原が放った下段からの斬り上げを、幹部が階段の手すりを使って飛び上ってかわし反撃に転じるアクションは感嘆の一言である。刀での勝負は藤原が一枚上手だったが、幹部が隠し持っていた手裏剣の連続攻撃により藤原は首に大ダメージを負い戦闘不能に陥る。

 

 幹部は藤原を放置し、アケミ達を追い詰め、手裏剣を投擲する。しかし何という奇跡か。アホの靴紐がほどけて靴がすっ飛んでいき、それが手裏剣を幹部に跳ね返したのである。幹部は脳に手裏剣が刺さったあげくアパートから転落して死亡。まさにアホ大活躍である。その後アホは警察を呼ぶために電話を借りにその場を離れるのだが「警察の電話番号って何番だっけ?」とアホを体現する発言をブチかまし、その場に居合わせた児童を呆れさせる殊勲を上げる。

 

 そうこうしている内にコデニ復活の時が来てしまった。アケミの胎内から出現したコデニは瞬く間に成人大に成長し、イケメンに襲い掛かる。必死で防戦するイケメン。激しい肉弾戦の末にコデニを追い込むイケメンであったが、なんとコデニは分身の術により戦力を倍増させる。もはやこれまでかと思われたが、イケメンを挟み撃ちにしようとしたコデニ×2の振るった刀が分身したコデニ双方の首を刎ね、同士打ちとなりコデニは消滅した。ラストはイケメンとアケミが神社で愛を語らいハッピーエンドである。

 

 本作は確かに一流の映画とは言えないだろう。雑な設定に適当なストーリー、変な訛りの日本語を話す俳優陣。武士のハチマキには「忠誠」と適当に当てはめたであろう漢字がぶちこまれている。なによりラスボスのコデニのデザインはクソである。役者自身は鋭い眼光を放つスキンヘッドのマッチョなのだが衣装があまりにも酷すぎる。鎧でもなく道着でもなく和服ですらない。それは相撲取りの装着するマワシなのである。この点だけは残念ながら見逃せない失笑要素であった。これらだけをことさら強調すれば本作は日本文化を誤解したファッキンジャップムービーである。

 

 しかしながら私は断言する。本作はそれらの欠点を補って余り有る。アクションシーンの連続により視聴者を楽しませる力を持った素晴らしい作品である。90分間全く飽きや苦痛を感じない映画を500円で視聴できたという事がどれだけ感動的なことか。これらアクションシーンの撮影のため俳優陣が流した汗がどれほどのものだったのか。登場するキャスト達もしっかりとキャラ立ちしている。これは「適当にカタナ振り回してる東洋人を出しておけばいいじゃん」などという愚かな考えを持った者が制作陣にいないことの証明であろう。

 

 胸の高鳴る戦闘を演じる主役、悪役。不快感を感じないアホ。本作に送るべき言葉は1つしか思い浮かばない。「トレ・ビアン」。

 

 

総合評価・星5つ(Ce n’est pas Dieu possible)

★★★★★

 

以上

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